読物

□救いなく過ぎる日々
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 君が笑顔で居るならば、俺の一人よがりな胸の痛みなどどうでも良いと。
思い込んでいた。
君が帰って来ない日が来るとは考えもしなかったのだから。
笑えてしまう。


 「いってらっしゃい。」旅荷を差し出すハナビの瞳が、彼を見付けるまでは帰って来るなと語る。
「ああ。」
身重でなければ、自らが赴きたいのだろうと、分かっているから、サスケは素直に頷いた。
 ナルトが、任務から帰らなかった。
捜索隊が出たのが4日前。
優秀な日向の使い手が組み込まれており、行方不明の小隊の内、サイは意識不明で連れ帰られ、他の二人は死亡が確認された。
ナルト一人、未だ行方が知れて居ない。
「お父しゃん。いってらっしゃい。」
ハナビの傍らから、二人の息子が声をかけてくる。
上の子がまだ3才。
舌足らずでも、最近言葉が増えた。
任務も、忍の意味も未だきっと理解はしていまい。
無邪気に母の真似をする幼さが、サスケの頬を緩ませる。
「ああ。母さんを頼むな。」
どこかナルトに似た面差しの、白眼の長男の頭を撫でて、サスケはナルト捜索の為に旅立った。
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