読物

□救いなく過ぎる日々
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死の可能性は、端から除外した。
最悪なのは、九尾目当てに敵に連れ去られた場合だ。
任務自体は無事成功との知らせは入っていた。
となればナルトの隊は、帰還中に何者かと交戦した事となる。
相手が任務絡みの人間であるなら、メドは付けやすいが、全く関係無い、言わば行きずりの人間なら面倒だ。
ともかく現場の検分をと、サスケはヒナタを振り返った。
そして物言いたげな、彼女の視線に行き当たる。
「なんだ?」
ナルトを捜す手掛かりになる事なら、早く言って欲しい。
急かす様に促すサスケの余裕の無さが、ヒナタに伝わった。
その気持ちも良く理解できるのだが、ヒナタは一息ついてサスケに背を向ける。
「…サスケ君。取り敢えず私が探した範囲を案内します。」
明らかに場を取り繕う態度だ。
「おい。」
何かをごまかそうとされたのを感じて、サスケがヒナタの肩を掴む。
問い質そうとしたのだが、振り返ったヒナタの思いも寄らぬ強い眼差しに、サスケは追及を封じられてしまった。
「ごめんなさいサスケ君。とにかく、着いて来て。」
意志を込めた面差しは、ハナビと良く似ていた。
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