読物

□さ迷える秒針
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見え透いたサスケの心情に無視を決め込んで、ナルトは一層無邪気を装った。
サスケは確かにナルトの特別だが、かと言って彼だけ居れば良いというほどのめり込む事は出来ない。
ほど好いところで折れたら良いのに。
「休暇位は、二人でいたい。」
頑固に、臆面なく自分へ執着するサスケが、ナルトには正直イタイ。
「…お前ってば、ハズイってーの。」
いい加減笑えない。
辟易とため息を吐けば、困った様に顔を伏せて。
似合いもしない仕種が、ナルトを苛立たせる。
このまま向かい合って座って居ると殴りたくなるからとナルトが席を立てば、背を向けようとしたところで手首を捕まえられた。
「何?」
ちらりと目線で振り返る。投げかけた声は冷たかったかも知れない。
「…ナルト。」
唇を噛み締めて見上げるサスケの、秀麗な眉根に皺が寄る。
好きだと、視線だけで語る男。
ナルトはしかめ面で対峙した。
「ナルト。」
名前を呼ぶ事だけに謝罪を込める男。
誰も皆一目置くだけの、実力と容姿を兼ね備えくせに。
ナルトだけしか求めない、サスケ。
正直、面倒。
けれど。
ただただ強く注ぎ込まれるかのような強い愛情が、ナルトに必要なのも確かなのだ。
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