読物

□振り返る者は常に
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 まさかそう。
死んだりはしていないと思っていた。
だからあの日。
眼の前に現れたお前に、俺は何も感じなかった。

お前は生きている。
だからそこに居る。

それだけだ。





 「カリン。またサスケを物陰から覗いてるの?そういうのストーカーって言うんだよ。」
「んなっ!」
雑木の向こう。
切り株に腰を落ち着けるサスケの姿を窺っていたカリンに、水月が背後から声をかけた。
「馬鹿言うな!なんで俺がサスケなんか!」
サスケの事を突くと何時もそうだ。
カリンは馬鹿らしい程慌てて、掴みかかってくる。
胸倉を掴まれて、振り下ろされる拳を避けながら、水月は鼻で笑った。
「…サスケって、ホモらしいよ?」
「…。は?」
水月の軽い一言に、カリンは言われたた事が直ぐには飲み込めない面持ちだ。
「大蛇丸とサスケが話してるの、聞いたんだ。」
「な…なな…まさか、大蛇丸様とサスケが?!」
「さあ…?本人に聞いてみたら?」
大蛇丸とサスケと言うカリンの発想に水月はゲンナリする。
けれども、何かしらのフォローをする筋合いも無いと、液体化して、彼女の腕を擦り抜けた。
水月にしてみれば、カリンからかいたかっただけだ。
事の真相なんて、興味ない。
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