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□可哀相な君
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それらを抱えて、スリーマンセルの試験に臨んだ。
彼に手を延べるか否か。
それは試験の結果に委ね様と。
結局は、決め兼ねぬ思いを天に任せたのだ。




 あの日。
君に手を差し延べたのは、サスケだったね。




知っていた。
幼い君をずっと見ていたから。
君とサスケに通ずる共有感。
一人ぼっちの君の孤独の、ひそやかな共有者。

見届けよう。
そう思えたのは。
あの人を。
あの事件を知らぬ世代に、多分、希望を見付けたからだ。
13年も。
君に蟠り続けたこの思いの垣根をあっさりと越えて行く。
ああそうだ。
皆そうだった。
次の新しい世代に希望見付けて去って行ったのだ。
ごめんねナルト。
正しくあの人の希望を引き継げなくて。
そんな事を、けして直接口にしたりしないけれど。

俺にとってのあの人に、君達の為、俺はなろうと。
何も言わぬ天に誓う。
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