残り香メモリー

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大学の友人と久しぶりに飲みに来た統香は、恋愛話の標的にされ太刀川との過去を話していた。

高校1年の頃、統香は3年の先輩に騙されて危険な状態だったが、偶然にもその場に同じクラスであり同じ師を持つ太刀川が居合わせた。


「クラスメイト?じゃあお前この子のこと助けんのか?」

「ひゅー!いいねぇ…ヒーローじゃん!」

「あー……や、別に助けないっす。
つか、助けなくても平気って言うか…。
お前なら平気だろ統香?」

「!!」


太刀川は顔色1つ変えずにそう言うと、下に降り扉へ向かう。


「俺は失礼します…。」


当たり前のように出て行った太刀川を3年生達は意気地なしやら、統香が可哀想などと笑った。


「……ふざけんな…」

「あ?……うぐっ!!??」


統香は自分を押さえ付けていた3年生の股間を蹴り上げる。


「統香ちゃーん?なにやっちゃってんのかなー?」


殴りかかろうとしてくるもう1人の3年生の拳を屈んで避け、足を蹴りバランスを崩して後ろへ倒す。

倒れたところで股間を思いきり踏みつけた。


「来るならどうぞ。
全員潰しますから…。」


ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー


外に出ると少し歩いた先に太刀川が待っていた。


「よう、おかえり。」

「………何ちゃっかり帰ってんのよ…。」

「だってお前忍田さんに護身術習ってただろ?
いや、あれは護身術つーか格闘技だな…。
ま、俺は統香ならあんな奴ら1人で倒せるって信じてたんだよ。」


そう言って統香の頭をぽんぽんと撫でると自分の方へ引き寄せる。

統香は太刀川の制服をぎゅっと掴み静かに泣き始めた。


「あんなのに騙されたのが悔しい…」

「おぅ」

「少し浮かれてた自分が許せない…」

「おぅ」

「慶に声かけられなかったらあのままだったと思うとなんか癪…」

「おい…。」


統香が落ち着いた頃に2人は自分達の師である忍田真史のもとへ帰った。




「…で、まぁ…いつの間にか付き合うことに…」

「何でー!?」

「太刀川のやつ活躍してなくない!?」

「そう言えば確かに統香って強かったね…。」


太刀川のどこが好きかと聞かれるとうまく答えられないが、強いて言うなら一緒にいて安心出来るところかもしれない。

決して2人は恋をしていない訳ではない。

ただお互い慣れすぎてしまっているだけで、ちゃんと胸が高鳴る時だってあるし、嫉妬だってする。


「まぁ、あの太刀川で統香がいいんなら別にいいけど…」

「統香ちゃん太刀川君で大丈夫?浮気とかされてない??」

「大丈夫じゃない?随分と仲良くしてるみたいだし。」


隣のA子が統香のタートルネックの首元を引っ張る。

そこには一昨日の夜、太刀川に付けられた跡が残っていた。


「ほうほう…なるほど…。
A子よく気付いたね!」

「私の目は誤魔化せないわよ〜!」

「ちょっとA子っ!!!」

「まぁまぁ統香ちゃん。ほら食べようよ!
あと女子会コース残り1時間だよ〜」

「時間早い!!」


うまいこと話を流され、統香達は再び違う話題で盛り上がって次に行くカラオケ店の目星を付けた。





ーーーーーーー

忍田さんと太刀川さんの師弟関係がいつからだったのかわからないので想像で…


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