愛憎

□.
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「か…海賊だっ!!」

「あれは…ハートの海賊団だ!!」


ロー達の登場に皆どよめく。


「貴様ら!!これ以上何をしようとするんだ!!」

「あ?これ以上も何も、この町には何もしちゃいねぇよ。」


ローは連れてきた男達をルストロ達海兵の前に乱暴に突き出す。


「お前ら…!」

「アラクランさん、ルストロさん…すんません…。」


男達は情けない声で2人に謝っていた。

恐らくアラクランの部下で人間屋と関わりのある者だろう。

町の者達はルストロとアラクランが見るからに一般人ではなさそうな男達と知り合いということに驚く。

そんな周りの反応を見たルストロは演技をし続けた。


「はて…?私は君達のことなど知らないが…」
「おい!とぼけるな!!私達はお前に従って…!!」


片手が無いのも忘れ、アラクランはルストロに掴みかかろうとするが海兵に取り押さえられる。


「アラクラン、一体どうしたというのだ?
この男達は……まさか!ムートが言っていた騙していたと言うことに関係があるのか!?」

「そ、そうだよ!ルストロさん!!俺、売られそうになったんだ!!」


ルストロが自分の話を思い出してくれたことにムートは嬉しくなり、アラクランのことを話し始める。


「こいつ、昨日電伝虫で誰かと話してたんだ!!俺を引き渡すとか、金のこととか…!!!
だからっ…今までのみんなは…もう…!!」

「そうだったのか…ムートすまなかった…!怖い思いをさせたな…。
私が早くアラクランの悪事に気付いていればこんな事には…!」


そう言ってムートを抱き締めるルストロはとても良い中将にしか見えないだろう。

しかし、エリザはペンギンに腕の拘束を解いてもらいながらずっとルストロを睨んでいた。


「死の外科医トラファルガー・ロー、炯眼のエリザ…お前達もグルと言うことか…!!」

「結局そうなるのかよ…。
エリザ、お前は厄介事をよく引き起こすな。」

「どうもすみませんね…。」


エリザは必死に考えた。

ルストロの正体を暴く方法がないか…。


「くそっ…信じるんじゃなかった…!」


アラクランの呟きが聞こえ、エリザはアラクランがルストロを100%信じていなかった事を知る。

使えるかもしれない。


「アラクラン!あんた、このままルストロに裏切られて捕まるつもり?何か証拠でも持ってるんじゃないの?
場合によっては手を貸すわよ…。」


エリザの顔を見たアラクランはニヤリと笑った。

それを肯定と受け取り、まだ体が動きづらいが服の中に隠していた拳銃でアラクランを押さえる海兵2人の肩を撃ち抜いた。

解放されたアラクランはポケットから貝を取り出した。


「これは音声録音が出来る音貝(トーンダイアル)だ!」


音声録音出来る貝があると噂で聞いたことがあったが、本物を見るのは初めてだった。


「な、何をしている!!早く捕まえろ!!」

「うるせぇ…。」


エリザが行動に出るより先にローがルストロと海兵達を能力でバラバラにする。

そしてアラクランは音貝を押した。


『軍艦が来るとは本当か?』

『あぁ。明日の昼頃には着く予定だ。』


音貝からはアラクランとルストロの会話が聞こえてきた。


『バレるんじゃないのか?海軍の中将さんがこんな…子供を売って稼いでるなんてさ。』

『心配無用だ。明日、証拠を全て消す予定だ。』

『そうか…。勿体ないが仕方ない…。 明日の1人で最後にしよう。
…ところで、どうやって証拠を消すんだ?』

『簡単なことだ。どうやら今この島にはハートの海賊団が来ているらしい。そいつらを利用するんだよ…。
ホームを爆発させて証拠も子供も全て消える。あとは海賊の仕業として捕まえればバレることもなく、私は大手柄ってわけだ。』


そこで録音は切れた。

録音を聞いていた町の者達は呆気にとられ、首だけのルストロは青い顔をしていた。

ムートもショックを受けているようだ。


「餓鬼共助けて里親捜すふりして売るように指示してたのは誰だったかな…?これであんたもお終いだ!中将さんよぉ!!」

「はい、ご苦労様。」


勝ち誇ったような顔をしていたアラクランはエリザに睡眠薬入りの拳銃で撃たれ、パタリと倒れて眠ってしまった。


「「「えぇーー!!??」」」

「アラクランさん!?」

「何て女だ!!」

「こいつアラクランさんを利用したのか!!」


アラクランの部下はエリザのことを悪魔だの鬼だの騒いでいる。


「馬鹿ね。あんた達を見逃すわけ無いでしょ。手を貸すとは言ったけど助けるなんて言ってないわ。」

「いや、お前やっぱり鬼だよ…。」

「あのアラクランって奴が不憫に思えてくるよ…。」


シャチとペンギンにまでそんなことを言われたが、ローは笑って見ていた。






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