novel『黒執事』vol.1短編

□『ローズガーデンの番人』
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朝陽が地上を照らすと同時に。
セバスチャンはローズガーデンへと向かった。

夜明け特有の、ひんやりとした空気を纏う花園への門は。
やはりローズガーデンらしく、蔓薔薇のアーチから始まる。

可愛らしい八重のモッコウバラが、淡い黄色とピンク、白の三色で彩っている。

そこを潜ると。
引き続き、クライミング・ローズが出迎え。

それから、モダン・シュラブ。
オールド・ガーデン、イングリッシュ・ローズの系統が様々に、優雅に咲き誇る。

花弁・花形・花びら・花色と細かく分けると、多岐に渡り。
貴重な原種を含めると、その品種は優に100を超えている。

その中から、セバスチャンは数種類を選んで摘み取り。
丁寧に刺を取り除いて、それぞれの花瓶に活けていく。

屋敷のあちこちには、毎朝刈り立ての薔薇が飾られている。

主に、ファントムハイヴの屋敷内では。
白系の薔薇が飾られる事が多い。

当家の主人に合った。
当家の主人が好む色彩が重要視される。

時には、主の気分や体調、天候や当日の訪問客・・・等。
多方面に渡ってコーディネートが施される。

それらを把握して、選考するのも執事たるセバスチャンの朝一番の日課。
そして、役目。

それが執事の力量を試されていたりもするのだから。
毎日気が抜けない作業とも言える。
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