novel『アニポケ』vol.1短編
□『うたたね姫』
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頃合いを見計らって、焼き出したパンケーキ。
案の定、匂いに誘われてか、数分もしない内に。
「お腹空いたー」の合唱が始まった。
もちろん、ポケモン達にはポケモンフーズをてんこ盛りの大サービス。
こっちも、何枚焼いたかなんて数えてはいないけど。
おそらく、積み上げればてんこ盛りだったに違いない。
(さすが子供胃袋)
一体、あの細身のドコに消えてしまうのやら・・・
でも、正直嬉しくて仕方ない。
奪い合いをしながらも、美味しそうに食べてくれて。
尚且つ、用意していた量を完食寸前まで平らげてくれるなんて。
旅の台所を預かる者として。
これが喜ばずにいられようか。
パンケーキの素がすっかり底を尽き。
最後の残り数枚を焼き上げてる時には。
先程まで、やれどっちが大きいだの、たくさん食べ過ぎでズルイだの。
大騒ぎだったのが、嘘みたいに静まり返ってしまった。
デントは、グルリ、周りを見渡して。
大樹の下、仲良く並んで横になっているのを見付けた。
「イッツお昼寝タイム、ってトコかな?」
微笑ましい光景を眺めながら、自分の分を食べて。
手際良く後片付けを済ませて。
足音を立てないよう、慎重に。
皆の輪に近付いた。