novel『黒執事』vol.1短編

□『ST.Valentine's Day』
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翌日。
バレンタイン当日。

15時のお茶の時間より少し前に、皆を広間に呼び集めた。

「今日はバレンタインだから」
そう短めに、昨日作ったチョコレート入りの。
ラッピング済みの包みを取り出した。

「フィニ」
「はい!!」

元気に右腕を上げて返事をするフィニには、緑のリボンの着いた包みを渡す。

中身は、ミルクたっぷりの甘めなスゥイートチョコレート。

「次はメイリン」
「はいですだ」

怖ず怖ずと前に出て来たメイリンには、真っ白なリボンで。

中身は、同色のホワイトチョコレート。

「バルド」
「へい!」

九割五分はバルドの作品なのだが・・・
バルドには、藍色のリボンが掛けられている。

中身は、カカオ100%の大人の味わい、ブラックチョコレート。

「田中」
「ホッホッホッ」

のんびり片隅で茶をしばいている田中には、渋めの小豆色のリボンを選んでみた。

中身は、ジャパニーズテイストのワビサビの効いた、抹茶チョコレート。

「わーい!わーい!!」
「ありがとうございます、坊ちゃん」
「大切にしますです!」
「ホッホッホッ」

「・・・傷まない内に食べてくれ」

ただのチョコレートなのに、ここまで喜んでくれるとは思ってもなくて。
頑張ったかいがあった、と嬉しく感じた。
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