novel『黒執事』vol.1短編

□『ローズガーデンの番人』
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「おはようございます、坊ちゃん」
「・・・うん」

起き抜けの無防備な表情で、シエルは大きく伸びをして。
まだ眠たそうに、気怠げな欠伸を一つ落とした。

「今日は、セイロンをご用意致しました」

程良く蒸された紅茶をカップに注ぎ。
ミルクを加えて手渡す。

一口飲んだ頃合いを見計らって、朝刊を差し出した。

シエルが新聞に目を通している隙に、と。

セバスチャンは、花瓶に先程摘み立ての薔薇を活けて。
全体的に見栄えを整えていたら。

背後からジッと、普段に感じない突き刺さる様な視線を感じて。
手を止めて、振り返って見た。

未だベッドで上半身だけ起こしているシエルの視線は。
新聞の文字ではなく、自分を追っているのに気づいて。

「どうかされましたか?」

別段変わった行動はしていないハズだが・・・

はて?
と、セバスチャンは首を傾げた。

「あ、いや・・・その薔薇、」

シエルの言葉に、多少ガッカリした。

自分ではなくて。
薔薇の花に魅入っていた視線だった事に。
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