novel『黒執事』vol.1短編

□『ローズガーデンの番人』
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「お気に召しませでしたか?」

ならば、別の品種を・・・
と、進言すれば。

シエルは慌てて、「違う」と首を横に振った。

「その薔薇の花・・・セバスチャン好きなんだな、って思っただけだ」
「・・・・・・、は?」

図星を突かれて、セバスチャンの反応が一歩遅れた。

シエルは、自分の発言に照れ臭くなったのか。
それを悟られない様に、素っ気なく視線を新聞へと逸らす。

(無関心なフリをして・・・)

照れ臭いのは、セバスチャンも同じで。

気づかれない様、気持ちに蓋をして。
直接ぶつけない様。
この想いを別のモノに当て嵌めて。

誤魔化して来たのに。

(結構私のコト、見ていてくれてるのか・・・)

まさか、シエルの方から本心を暴かれるとは。
思いもしなかったから。

セバスチャンは、再び純白の薔薇に触れると。
胸の真ん中が擽ったくて。
クスリ。
一人、目を細めて笑った。
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