novel『黒執事』vol.1短編

□『とき』
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時間とは、”解き”が語源だとも言われていると知った時。

だから人間は問題が起こっても、”とき”が解決する、とか言うのか。
と、納得したものだ。

時間が紐解く…

気の長い様な。
短い様な。

人間とは、本当に浅はかで短絡的で。
めげない生き物ですね。

都合の悪い事は全て、時間の責任にして。
都合の悪い問題は全て、後回しにして忘れてしまおうとしてるダケに過ぎない。

愚かで醜い、生き物。

でも、その悪あがきの中でもがき見せる醜態は、嫌いではありませんね。

ホラ。
私の目の前にも独り…

「何か言ったか、セバスチャン?」

「いいえ」

ごまかす様にいつもの笑顔で答えれば、一瞬怪訝に眉を寄せては見たものの。
「そうか」
と、だけ告げて。
再び、手元の書類の束に目を落とす。

私は、それを見つめながら。
気取られない様に、少し顔を逸らして。
クスリ、笑った。



現在は気付かなくてもいい。

いや、気付かないでいい。

貴方が、生きる柵(しがらみ)から解き放たれた瞬間。

貴方の魂は、永遠の時間を持って。
私のモノとなるのだから…


END
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