novel『イナGO』vol.1
□『不協和音』-イナGO Ver.-
1ページ/13ページ
「お前は独りじゃない・・・太陽」
-ごめん・・・こんな事になって・・・-
暴走を止めた太陽の華奢な身体は。
空中でグラリと傾き降下を始める。
と同時に、剣城の腕の中に収まった。
-皆をたくさん傷付けて・・・-
以前の瞳の色を宿して。
太陽は、剣城に向かって悲しげに微笑む。
リーダー候補として懸命に努力して。
誰よりも強く在った、太陽。
その姿を一番近くで見守り、小さい頃からずっと傍で支えて来た剣城だ。
「分かってる・・・だから、安心して眠れ」
幼子をあやす様に、優しく優しく頭を撫でて。
余った方の腕で、抱き締める力を強くする。
-それと、ありがとう・・・京介-
言葉なく頭を横に振る剣城に。
柔らかく笑みを浮かべると、太陽は涙の一筋を残して静かに瞳を閉じた。
「・・・もう少し、待っててくれ。太陽」
剣城は太陽を抱き上げると。
再び、封印の水牢へと寝かせた。
水牢を閉じる瞬間。
「またな」
と、呟きを残して。
悔しげに、泣き出しそうに顔を歪めながら。
剣城は、施錠の呪を誦えた。