(沢田綱吉×リボーン)

*捏造学園パロ・文化祭。
*ディノ白と若干話しがリンク。

げてけよ愛!】




文化祭での役回りをひとしきり終わらせた後、一緒に校内を回る約束をしていた綱吉と合流した。ステージのある運動場や出し物が多い体育館、人の出入りが激しい場所を避けて二人が向かった先は、少しだけでも二人きりで静かになれる空き教室だった。ちゃっかりと向かう途中で目についたタピオカドリンクや肉まんの入った紙袋を片手に、靴箱を抜けて校舎に入った瞬間。リボーンは何か腑に落ちない背中が痒くなるような予感に足を止めると、不思議がる綱吉を傍らに置いて背後を振り返った。

「…あ」
「数年越しの片想いが実ったか」

リボーンにつられるようにして同じ方向を向いた綱吉は、動き疲れて重くなっていた瞼の重力を跳ね返すように目を丸くした。驚くのも無理はない。二人の目先にいた生徒は、綱吉とリボーン両名に馴染のあるディーノと正一だ。ラブラなオーラに毒されるようにして、リボーンはやれやれと言った風に溜め息を吐くと綱吉の腰にそろりと腕を回して密着した。

「ディーノさん、と…正一君だよね?」
「見ればわかるだろ」

紙袋をタピオカドリンクを持つ側の脇に挟み、空いたその手で綱吉の制服の割れ目に手を入れて脇腹をさすると、くすぐったそうにぴくりと肩が跳ねた。しかし、靴箱を挟んだ反対側にいる二人に目を向ける綱吉に目立った反応はない。これは好機だとリボーンの目がきらりと悪戯に輝いた。リボーンはここぞとばかりに唇を愉快に歪めながら、毎日鍛えている筈なのに対して筋肉の付かない貧相な腹筋を撫で回すと。

「あの二人、付き合ってたんだ…教えてくれればいいのに全然気付かなかった……って、リボーン!どさくさにまぎれて変なとこ触るな」

二人を物陰から食い入るように見ていた綱吉は、じっとりと湿らせた目でリボーンを横目に睨み、服の上からぱしんとリボーンの手を叩いた。

「ちっ、ばれたか」
「最初からバレバレだって」

わざとらしく舌を打つが、何度もその手を使っている綱吉から見れば、公衆の場でセクハラ行為はやめろと言いたいのだろう。綱吉の言い分は分かるが、ここは学校だ。ほんの出来心から多数の目がある教室でも運動場でも、くすぐりあって遊ぶ学生や、部室で着替える際に服を脱がし合って犯罪にならない程度に好奇心で乳繰り合う者もいる。それを配慮すれば、リボーンが行っている行為なんて可愛いで済まされるレベルだ。諭されたところで止める気はさらさらない。

「すべすべのぬくぬく、だな」

いやみったらしく擬音に合わせて手を動かしてやれば、綱吉は満更でもない顔で不満を口にする。

「リボーンの口から聞いても、可愛くもなんともないんだからな」
「…なら、ディーノみてえに、ちっとはがっついてみやがれバカツナ」
「っ、オレより綺麗な肌してる癖に………触ったらやめられないから、触らないだけだよ!」

ぎゅっと拳を握った綱吉の両手に行動は今か今かと待つものの、少し怒鳴るように張った綱吉の声は、リボーンにとって良い意味での裏切りだ。程良い満足感に綱吉の衣服の中から手を抜き去り、ふとディーノ達の方角を見遣れば、やっとこちらの存在に気付いたらしいディーノだけが正一を抱き締めたまま硬直していた。

正一だけが状況が分かっていないのだろう、あたふたとディーノの腕の中でもがく姿が可愛らしい。そして、まだ初々しさが残っていた頃の幼い綱吉と照らし合わせては、一体誰のせいでふてぶてしく育ったのかを考え――リボーンは苛立ちを隠さずに舌打ちをした。

「…気に食わねえ」
「えっ、ちょ…リボーン…!」

リボーンは素早く綱吉の服の中から手を引き抜くと、素早く先刻屋台で購入したばかりの紙袋を握り締め、ディーノの顔面めがけて振りかぶった。瞬間、綱吉が正一を思ってか、声を潜めて慌てた声を上げる。

「…ぐ、わっ!?」

そして、靴箱を挟んだ向こう側から響く情けない男の叫び声。避ける術の無いディーノの顔面にクリティカルヒットしたのを確かめ、その情けない有様にすっと胸が冷めるのを待つと、リボーンはふーと深く息を吐きながらとっとと踵を返した。これ以上、ディーノ達のオーラに当てられ続けたら、胸やけを引き起こしそうだ。

ディーノ達が気になるのか、やや後ろ髪引かれるようにして綱吉が後をついてくる。すると、不思議と歩幅を合わせて、ぴったりと肩が触れ合う程度にキープしてくる珍しい綱吉の様子に、リボーンは怪訝な表情を一瞬浮かべた。しかし、すぐにそれは目を合わせようとしない綱吉の微かに赤い顔に吹き飛ぶ。

「…リボーン、教室に入ったらキスしていい?」

何食わぬ顔で乱れた綱吉の服の隙間に手を差し込み、ほんの数分前まで堪能していた腰を再び引き寄せてやれば、そう口ずさんだ綱吉が負けじとリボーンのベルトの余り部分を引き抜きにかかってくる。

「っ、オレが断るとでも思ったか」
「ディーノさんと正一くんの気にあてられた見たい…ちょっと冷やして」
「…どこでそんな口説き技覚えてきた」
「ひみつ」



END

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