アウスレーゼ1
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そんな私を親はどう思っているか。何とも思ってないだろう。
だって彼らとはここ何日も会っていない。
仕事が命の二人は今まで学校の行事に見てきてくれたことがない。
成績表だって見ていないかもしれない。
何か提出プリントだって名前を書いて終わり。そんなものだろう。
そんな二人に「働いてくれてありがとう」などの感謝の気持ちはない。
だが、「なんで構ってくれないんだよ」という僻(ひが)む気持ちもない。
喧嘩どころか話す暇もない家族。
冷めた家族、うちの家族にピッタリの言葉だ。
こんな生活、いつ終わるだろうか?
いつでもいい。終わっても終わらなくても。
感覚がズレているかもしれない。
だけど、そんなのどうでもいい問題でもあった。
「キミに、僕と一緒にゲームをしてもらう」
その言葉に首を傾げようとする前に目の前は暗転。
暗い闇へと落ちる感覚、何か自分の体に入り込む感覚、
脳に直接響く声、不思議と拒絶や抵抗する自分がいなかった。
「僕がいいよ、って言うまで誰にも話してはダメだよ」
一方的に与えられた。
こちらの言い分も何もない。
「さぁ、始めようか」
知らない声は姿を見せない。
私も何も反論の声も態度も示さない。
ただ流れに沿って私は生まれ育った世界から『消えた』。
そしてある世界へと『現れた』
その世界の名を……『D.Gray-man』