NOVEL
□沖縄旅行〜ニールと俺と時々ティエリア。その3。
2ページ/8ページ
「ひっ…ロックオンが細胞分裂してる!」
「細胞分裂は誰でもしてるだろ!」
「それをいうなら『分裂してる』だろ!」
見事なツッコミが2連発。この兄弟は純粋種のツッコミ属性か。
俺達(主に双子)が騒いだせいか、煩そうにティエリアがやって来るのが見えた。
「何だ、ロックオンが二人になっている。」
「冷静沈着ッ!」
「そこに痺れる憧れるッ!」
「そろそろお前ら黙れ。」
俺が耐え切れずツッコミにツッコミを入れると、ティエリアは眼鏡をくいっと持ち上げ、苛立ったように言った。
「君達、もう帰る時間だ。集合時刻を設定していた筈だが。」
「すまない。変な双子に絡まれて時間を使ってしまった。」
「酷っ!双子で一くくりにされた!俺一応仲間だよね?そうだよね?」
「あ、そういや俺もカタロ…おっと、向こうに仲間を待たせてるんだよな。」
そう言うとライルはおもむろに水着に手を突っ込み、メモ帳とペンを取り出した。
何故そんなものがそんな所に入っているのかは敢えてスルーしようと思う。
「ほい、兄さん。連絡先書いておいたから。後でメールでもくれよ。」
「おう。後でな。」
そのメモを平然と受け取るニール。やめろ、普通に触るな。
それは水着から出て来た奴だ!!どういう事かわかるだろう!
現にティエリアは眉間に皴を寄せて万死、と小さく呟いている。
そろそろティエリアが爆発しそうなので、アレルヤが仲介にはいった。
「あの、僕たちホテルの夕食があるので、これで失礼します。」
「ん、ああ。兄さんをよろしく頼むよ。それとそこのガキ」
ライルが俺を指差す。人に指を指してはいけないと、ロックオンには習ったんだが。
「何だ」
「お前次会ったら一発殴らせろ。兄さんと間違えて俺をボコったのは誰だ?」
「断る」
「…ったく可愛くねーの。もう少しガキっぽくしてろよー」
「問題無い」
ライルが肩を竦めた。
「そんなんじゃ彼女の一つも出来ないぜ?」
「俺にはエクシ…むぐっ」
「あーライル!コイツいつもこんなだから!そういう年頃だから!」
ロックオンが俺の口を無理矢理手で塞いだ。あ、そういえば海だから手袋をしていないのか。手からジャガイモの臭いがする。