アラド同人編(おひさま)

□喧嘩日記
1ページ/25ページ

11/8(日)
今日は珍しくアイツが家に来た。
無意識に喜んでいる自分がいて軽く赤面した。
第一声が「久々にお前の手料理が食べたくなって」とは。
少し照れながらはにかむ姿が微笑ましい。
変な理由を作らず素直に会いたいと言えばいいのに。いや、自分はその理由すら作らず、休日は専ら家でアイツの連絡や訪問を待っているわけだから文句も言えないか。こんなことだからアイツとはいつまでたっても友人止まりなのだろう。
あたしは思い切って中華料理を作ることにした。
有り合わせの材料の中、果たしてアイツの口に合う料理を作ることが出来るだろうか。
だが、いつも武器に使う毒と同じ以上の愛情をたっぷりこめて作っているのだから……やめておこう、書いていて恥ずかしくなってきた。
アイツはなんと言うか表情と性格が一致しているので、満面の笑みを湛えながら「美味しいよ」と言ってくれた。
素直に喜べず、「そうか」とそっぽを向いてしまった自分が憎い。
いつになったらアイツとの距離が縮まるのだろう…?

11/21(土)
今日は本当は書きたくなかったが、日課なので書くことにする。
仕事の帰り道、たまたまアイツが他の女と楽しく語らいながら食事を取っている光景を目にしてしまった。
鉢巻をした、自分と違って可愛らしい女の子だった。
悔しくない、好きにしたらいい。暴れる心臓にそう言い聞かせたのに、体は正直なもので涙が止まらなかった。
あたしは必死に泣き顔を隠しながら家に帰った。
久しぶりに激しい嫉妬を覚えた。
だが、何も言えなかったのは、あたしは自分の見た目のハンデを熟知しているからだろう。
こんな傷だらけの、しかもガラの悪い女なんて誰も好きにならないだろう。
昔はそれでいいと思っていた。別に女と見てくれなくても構わないと。
だが、アイツは自分を女の子として接してくれた。
最初は戸惑ったが、すごく嬉しかった。
自分にも乙女心があるんだな、と頬が紅潮するくらいに。
だからこそ、今日の出来事は悲しかった。
こうやって落ち着いて周りを見ると、アイツ以外にあたしを理解してくれる人はいないことに気付いた。
余計落ち込む。寂しい。アイツに縋りたい。
…このままだと負の感情にまみれたドス黒い嫌な日記になるだろうから、今日はここで筆を

(ここで終わっている。所々涙が零れたらしき跡がある)
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ