アラド同人編(おつきさま)

□催眠陵辱館〜メイジ編〜
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夜の通りは、気味が悪い。
真っ暗で、人の気配も無く、『お化け』が出るのではないかと、ついそう思ってしまうからだ。
「もっと早く行けばよかった…シャラン様も寝てる頃だろうし…」
先端に大きな鈴が付いた愛用の杖を、ぎゅっと握り締める。頼りないが、これしか護身する術はない。
薄桃色の髪を二つに束ね、暗闇に怯えつつ少し震えながら歩くのは、メイジの少女だ。
四種類の元素を巧みに操る格好良いエレメンタルマスターに憧れ、彼女も転職するための試練を師であるダークエルフの魔女・シャランから受諾した。
その転職用の材料を取りに西の森から帰ってきたばかりだから、疲労も溜まっている。早く帰ってシャワーを浴びたい気分だ。
道中、ゴト…と物音がした。
「ひっ!?…誰っ!?誰なのっ!?」
驚き、涙目になりながら慌てて周りを見渡す。この怯えようでは、どうやらこの少女が伝説のエレメンタルマスター『アークメイジ』と呼ばれるのは、もっと後の話のようだ。
ニャー、と鳴き声が聞こえ、ほっと一安心。
「脅かさないでよ、もぉ……」
愚痴を零すも、ばくんばくんと心臓は暴れっぱなしだ。
「早く帰ろう…。何か、怖い…」
寒さと独りという恐怖感から、足早に港町ウエストコーストの裏通りを過ぎようとした、その時。
不意に肩を叩かれた。
「へ……?」
振り向くと、目の前に背の高い男が漠然と立っていた。
ぼんやりとした街灯を背に立っているため、素顔が分からない。
そして。
「ぐふっ……!」
腹に一撃を叩き込まれ、そのまま彼女は意識を失った……。
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