アラド同人編(おつきさま)

□催眠陵辱館〜女性ガンナー編〜
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『ほら、聞いたか?ウェストコーストの通りの、呪われた噂をよ』
『ああ。何でも女の子二人が立て続けに行方不明になったってやつだろ?弟子が一人いなくなっちまったって、シャランさまもがっくりしてなすったなぁ』

酒場で聞いた、奇妙な噂。
スラリと伸びた長い腕や脚、くびれたウエストとは対照的に存在を強調する胸は、モデル顔負けであると言っても過言ではない。やや色素の薄いブロンドヘアは簪で整えられ、生まれ育った故郷の礼服を違和感無く着こなす。
そんな彼女…ガンナーの女性は、スコッチを傾けながら冒険者の風体をした二人の男の会話を盗み聞いていた。
何処にも属さず独学で銃器の取り扱いを学ぶ者が多い男性ガンナーとは対照的に、女性ガンナーは生まれ故郷ゲントの皇都軍に所属し、そこで修練を重ね、晴れてガンナーとして活動を認められる。
主だった任務は皇都最上位に君臨し、ゲント全てを統治する皇女の護衛であり、自ら戦争を仕掛けたり、戦地に赴くことは殆どない。
そして現在彼女は、天界の無法集団カルテルに襲撃され、捕らわれた皇女救出作戦のパートナーを探しに下界であるアラド大陸に降り立ったところである。
「女の子二人が…攫われたのね」
隅の席で小さく呟き、強い酒を飲み干す。
きっと捕まった先で、乱暴されているに違いない。早く助けてあげなければ。
捕らえられた少女たちが、現在も監禁中の皇女の姿と重なり合って見えたのもあったが、何より自身の辛い過去が脳を過ぎったのだ。
彼女は皇女と共にカルテルに捕らえられ、尋問という口実で、狭い牢中にて何人もの見知らぬ男達の慰み者にされた。
身体中を嬲られ、生臭くて熱い汚液を何度も浴びせられ、数え切れない位の絶頂を経験した。
あの後運良く逃げ出せたものの、陵辱にて得た屈辱的な記憶は彼女の脳裏に焼きつき、決して忘れられない苦い思い出となった。
「ふぅ……メランコリーになっちゃうわね、どうしても」
代金を支払い、夜の通りを一人歩くガンナー。
二人の話を盗み聞いて得た情報は、次のようであった。
ここ数ヶ月で二人の少女が神隠しに遭った。最初はメイジの少女で、次は格闘家の少女。格闘家はメイジを捜しに行ったきり帰ってこなくなったのだという。
「そしてここが、呪われた通りって言われている場所ね……」
通りは薄暗く、街灯が殆ど無い。あるのは寂れた宿屋が数件と、場違いに建っている富豪の屋敷。
銃を構え、麻酔弾を仕込む。怪しいとすれば、この屋敷だ。
寝静まっているのか、明かりの灯っていない屋敷。音を立てず忍び込み、現状の安全を確認する。訓練生時代から行っている行為だ。
広い庭に出た。手入れが行き届いており、異国の花が咲き乱れている。心地のよい香りに、少し安心した。

突然フッ、と小さな風音がガンナーの耳を吹き抜けた。

「……っく!」
危険を察知した彼女は慌てて横に跳び、急降下した『何か』を間一髪避けた。
「チッ、避けられたか…。あたしもまだまだ修行が足りないわね」
目の前の敵は舌打ちをし、再び構えた。
少女。あどけない顔をした、少女だ。
月に映える茶色の髪はポニーテールで纏められ、どういうつもりなのかカチューシャやエプロン、ガーターベルトつきオーバーニーソックスといった、所謂メイド服を着ていた。
見た目に反するアグレッシブな行動。そのアンバランスにも程がある少女が、小さく吼えながら侵入者に向かい突進した。
ガンナーは間合いを詰められた際の超接近戦に供え、その長い脚を活かした蹴り技の数々を習得している。
女は顔が命と言うが、今は相手を気遣っている場合ではない。このままでは殺されてしまう。
迫り来る少女の顔を跳ね飛ばそうと、目にも留まらぬ速さでの後ろ蹴りを放った。
スパァンッ!!何かが弾ける様な音と確かな手応え。
しかし、迎撃に成功し、喜ぶべきであったガンナーは、その現実に愕然とした。
「なっ!?」
「いい蹴りじゃない。体軸もブレてないし、威力もスピードもある。見習いたいくらいの蹴りね」
大人の男ですらひるむ蹴りを、華奢な少女が難なく『片手で』受け止めていた。
「あ、あなた……まさか…」
「油断大敵っ!!」
呆然とするガンナーの後ろを素早く回りこんだ少女が、延髄に強烈な一撃を叩き込んだ。
「う……っ!」
ショックで手にした銃を取り落とす。
ドサッ。為す術なくうつ伏せに倒れるガンナー。
「どうしたの?何かあったの?」
薄れ行く意識の中、ふと幼い声が聞こえた。
「ここを嗅ぎ回ってたネズミを捕まえたの。翌朝にでもご主人様に報告しないとね」
彼女が最後に見たのは、行方不明となっていたメイド服姿のメイジと…同じく格闘家の二人の姿であった。
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