アラド同人編(おつきさま)

□奴隷人形師
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同時刻、人形館。
「はい、もうボスの前まで来てしまいましたね」
メカニックが特に感想無く言った。
「消費したキューブが2個。もったいないことしたぜ」
フレンジ状態の狂戦士がぼやいた。
「まぁ、あとこの部屋だけだ。いいか、『獲物』は最後まで残しておけよ」
「わかってるよ、今回は俺も重火器は使わないつもりだし」
さぁ、入るか、と狂戦士が赤く光る扉を開けた。

「よくきたな…お前たちも、石にしてやるぞ!」
ドグリが言い放つのを無視し。
狂戦士が周りの敵を切り刻み、細切れにする。
同時にメカニックが複雑な機械でドグリ以外の人形師を全て粉々にする。
「な…っ」
ドグリは驚愕した。
桁が違いすぎる。
勝てないかもしれない。
だけど。
勝って、ジグハルト様に振り向いてもらうんだ。
「あああああっ!」
半ば狂うように地面から石柱を突き出す。
同時に、爆発。
「お前の攻撃ほど読みやすいものは無いよ。爆発することも知ってる。まぁ当たったところでどうということは無いけど」
ランチャーに軽くよけられ、キャノンを向けられる。
撃たれる…
しかし彼は、ドグリではなく、台座を撃ち抜いた。
粉々になる石の台座。
「あぐっ…!」
なすすべも無く転がり落ちる。
逃げようとするも、脚に痛みが走り、動けない。
あっけなく、本当にあっけなく捕まった。
「はっ、離せ!!」
一生懸命もがいても、腕力では大の男には到底かなわない。
「暴れんじゃねーよウゼェなァ…オーイ」
誰に呼びかけたのか。
反応したのはインファイター。
すばやく肉薄して羽交い絞めにされた彼女の腹に強力な一撃を叩き込んだ。
ズグン、と重い衝撃が彼女に走る。
「がふっ…」
拳は彼女の胃で止まった。
さらに深く、めり込んでいく。
「ごほっ…げふっ…おぇぇ…」
ドグリはこらえきれず、胃液を吐き出す。
ビチャビチャと胃液が石の床に落ちた。
それを見たインファイターが彼女の頬を叩く。
「いっ…!」
「おい、かかったらどうするんだ?汚ぇなぁ」
怖い、怖いよ…
助けて、ジグハルト様…
「お、まえらなんか…ジグハルト様、がぁ…ごほっ…」
涙をこらえ、震える体を隠すように必死に脅すドグリ。
だけど、そんな希望すら打ち砕くような最悪の言葉が、狂戦士から発せられた。
「ジグハルト?ああ、『コレ』のことか?」
彼が握りこぶしを開き、ドグリに見せた。
ジグハルトの…鎧の破片だった。
「あ…あぁ…」
ぽろぽろと涙を零すドグリ。
もう、誰も助けてくれない。
この男達にどんなひどい目に遭わせられるのだろう。
自らが殺される想像でもしたのだろうか。
その恐怖が脳から体の隅々まで染み渡り。
「えっく…ひっ…く…」
それは、彼女の体で、失禁という形で具現化された。
「あっれぇ?この子お漏らししちゃってるよ?」
彼女の股間から染み出した黄金色の水が、太ももを伝い床に水溜まりを作る。
「嫌ぁ…見ないでぇ…」
顔を押さえ、内股にした太ももを震わせ、懇願する。
だが、彼らは慈悲という言葉を知らないようだ。
「もうわかりますよね。あなたの味方は誰も居ないって事が」
メカニックがにやついた。
「死に、たい…」
ドグリが呟いた。
どうせ死んだはずの命だ。
ジグハルトが居ない今、生きていても仕方が無い。
なら、いっその事、死んでしまったほうがいい。
化け物は、殺されるべきなんだ。
だが、彼らの言葉は意外なものだった。
「ダメだ」
そのまま戸惑う彼女を抱きかかえると、塔の外に出た。
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