アラド同人編(おつきさま)

□聖奴隷
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コツ、コツと石の床にヒールの音が響く。
プリーストは俯き加減で早足に歩いている。メイジが心配で仕方ないのだ。
やがて見えた『執務室』と書かれたプレートが貼り付けられたドアの前でプリーストを止める。
機密資料が入っているのだろうか、二人のカルテル兵が見張りとして立っていた。
メリーは二人の見張りに声をかける。彼らも3番隊服隊長の姿を見るや敬礼のポーズをとった。
「40番の鍵を持ってる?」
「は、はい」
見張りの一人がベルトにつけた鍵の束の内から『NO.40』と刻まれた鍵をメリーに手渡す。
「さ、入って頂戴。貴方たちは帰っていいわよ」
「し、しかし…これが我々の職務ですので…」
「…そうね、隊長が何て言うか分からないし……」
懐から紙とペンを取り出し、何か文章を書いているようだ。
「何か言われたらこれを見せてもらえればいいわ」
"この紙を持つ者は私個人の私的理由により任務遂行中に立ち退きを命じた者である。責任は私にあるため、いかなる者も咎めることを許すまじ。−メリー・ジェーン"
紙を受け取った二人は釈然としない様子だったが、上官の命令にむやみに逆らうわけにも行かず、罰が悪そうにその場を離れていった。
執務室は名前こそ硬いが、どうやらメリー個人の部屋のようだ。
見るからにふかふかそうなベッド。枕元には香水のビンがいくつも置いてある。
本棚にはファイルが大量にあるが、化粧品などが大半を占めていた。
「窮屈な拘束を解いてあげるわね」
「ッ…!?」
ガチャリ、とプリーストの両手の自由を封じていた手錠を解錠したメリー。
「さて…言ったわよね、貴方の頑張りであの子の命を助けてあげる…って。まぁでも、今頃バスティに犯されすぎて死んじゃってるかもしれないけどね」
「そんな…っ!」
勢いで首を絞めかねんプリーストに、メリーは静かに忠告した。
「変な気は起こさないことね。ここにはたくさんの隠しカメラがあるのよ?私にちょっとでも手を出したら…バスティにあの子をすぐ殺してもらうように頼んであるから。ああでも安心して?確かバスティは屍姦も好きなはずだったから」
高笑いするメリーに、プリーストは怒りを堪え拳を握るしかなかった。
「……どうすれば…彼女を解放してもらえるんですか…?」
下劣な罠である可能性は十分に考えられるが、今はただ僅かなチャンスに縋るしかない。
「フフ…私とこれからゲームをしましょ。貴方が勝ったら、二人とも返してあげる。でも負けちゃったら……分かるわよね?」
ゲーム…?反芻するプリーストにクスクスと笑う。
「そう、ゲーム。好きでしょ?ゲーム」
実際のところ、修行や黙想などで娯楽とは無縁なプリーストたちは賭け事は勿論、ゲームなど皆目経験がなかった。
果たして自分はメリーに勝てるだろうか。メイジを助け出すことが出来るだろうか。
「ルールは!?ルールは何ですか!!」
しかし、迷っている暇はない。こうしている間にも、別室でバスティにレイプされ続けているメイジは力尽きてしまうかもしれない。
「慌てないのぉ……ルールを説明する前に準備があるから、まずは服を脱いで頂戴?」
「え……?」
服を脱げ。突然の命令に棒立ちになる。
そんなプリーストに露骨にイライラするメリー。トロい男は嫌いだ。
「あぐっ!」
手にしたムチがしなり、プリーストの身体を痛めつけた。
「…何度も言わせないでくれる?服を脱げっつってんのよ…!それとも…もっとこのムチを味わいたいの?」
ヒュンヒュンとムチが風を切る音が部屋を支配する。
「わ、わかりました……。主よ…お許しください……」
プリーストはメリーの指示通り、その白い衣を脱ぎ始めた。
手甲が重い金属音を響かせ、ばさりと白衣が床に広がる。
誰かに肌を見せたことのないプリーストにとっては恥辱極まりない行為に、歯を食いしばって耐える。
「ふぅん、いい身体してるじゃない」
一糸纏わぬ彼の筋骨粒々とした肉体は、メリーに舌なめずりをさせるだけの美しさがあった。
腰の下…股座の逸物も、メリーの視線を釘付けにした。こんな立派なモノはそうそうお目にかかれるものではない。
「予想通りの逞しいモノも持ってるしね…フフフ…」
メリーは引き出しから大きなガラス製の砂時計を手に取った。
「今から私は貴方にいろんな快楽を味合わせてあげる。この砂時計の砂が落ちきるまで耐え切れたら、貴方の勝ち。簡単でしょ?」
メリーは彼がプリーストだと知っていた。
プリーストは禁欲生活を続けている。当然、異性と身体を交える『姦淫』は行わないはずだ。
だからこそ、禁じられた快楽を与えてやろうではないか。メリーはその邪悪なアイデアに思わず頬を緩ませた。
砂時計を机の上に置き、ひっくり返す。ゲーム開始の合図だ。
「さぁ、始めましょう…フフフ」
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