振り BL s h o r t

□お見通し
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「わぁーっ!間に合ったァ!!ラッキィ!」

教室にこの声が響き渡る。

「あ、田島く、ん」

「おー。田島。お前、どこ行ってたんだよー朝練終わったら急に消えてー」

おかげで片付け大変だったんだぞ、と付け足すと、にやにやしながら謝る田島。

「悪ィ悪ィ!んでさ!お前らコレ、ちゃんとあるか?」

そう言うと田島はすごく自慢げにある物を2人の前に差し出す。


「古語辞典?あぁ、今日使うからな。忘れてたのか。」

余裕に返す泉に田島は少し残念そうに言う。

「なんだー泉持ってきてたのか!」

「当たり前だろー?つか、昨日、浜田からメール来たし。」

そう言いながら、さっき買ってきたポカリをひと口飲む。

「えー!俺には来なかったゾ!ずるいぃ!」

泉のポカリを奪おうとする田島に

「ちょ!いや、お前携帯持ってねーじゃん。」

と突っ込む泉。ポカリは無事だ。

「あっ!そっか。…三橋は!?古語辞典持ってきたか?」

ぶぅーっとふくれっ面のままに三橋を向けて聞いてみると

「うっ、わ、忘れたぁ!ど、どうしよ」

あわあわ焦りだす三橋を見て、なんだか嬉しそうな田島。

「だろ!だろぉ?」

どうやら自慢したかっただけの田島に
はぁ、とため息をついた泉が、

「誰かに借りてこいよ。まだ、始まるまで時間あるから余裕だろ?」

と助言する。

「う、うん!行ってくる!」



教室から飛び出した三橋は
どこに向かったのだろう。






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