TOV・CP

□二人の最初
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ザギという男の襲撃を受けた二人は、とりあえず城を抜け出すために急いでいた。

エステリーゼの着替えが終わり、目的地は『女神像』。

何とか女神像にたどり着いた二人は、地下用水路への入り口を見つけ、その先へと進む。


「……エステリーゼ」

「何です、ユーリさん」

「視線が、痛い」

「そうですか?」


グサリグサリと背後から来る視線は、無視出来ない。


「言いたい事があるなら、聞くけど?」

「特には」


会話は短く終わった。

終わったのだが、その視線は変わる事なくユーリの背中を刺す。


「ホントに言いたい事ねぇのか?」

「……」

「エステリーゼ?」

「いえ。ただ、フレンに聞いていたイメージと少し違って……」

「どんな話をしてたんだよ」
 
「二人の秘密です」


エステリーゼはどこか嬉しそうに笑った。

今度会ったら、フレンに秘密を共有する少女がいた事を、からかってやろう。

と思ったが、その秘密が自分の事となると、話が変わってくる気がした。

仕方ない。

なかなか楽しい話題になりそうだったが、今回は見逃すしかない。


「ユーリさん」

「何?」

「……何でもありません」


いつの間にか、背中に受ける視線は鋭い物から、やわらかい物へと変化していた。

行く手を阻む魔物が現れると、二人の空気が変わる。

剣を手に、エステリーゼに目を移す。

彼女も戦闘準備が出来ていた。


「行くぞ」

「はい!」


武器を握り直し、戦闘に入る。
 
援護してくれる彼女の姿を確認し、ラトラトに斬りかかった。






二人の最初

長い旅が、ここから始まった。








E N D



2009/04/30
 

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