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□キミが見つけた世界の果て
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「ユーリ、わたし、見つけたんです!」


にこりと笑って、両手を力強く握っている。

その勢いに、ユーリは一歩体を引いた。


「えー……何を?」

「聞きたいです?」


ユーリが“聞きたい”のではなく、エステルが“聞かせたい”のだろう。

キラキラと輝かせる瞳に、無言で頷いた。

エステルは息を吸い込んで、思い切り答えた。


「世界の果てです!」

「世界の果て?」

「はい!」


またよく分からない事を……が、素直な感想だった。


「何なんだ? 世界の果てって」

「ユーリは、世界の果てってどこだと思います?」

「……さあな」

「もう! ちゃんと考えて下さい!」


考えろと言われても、どう考えればいいのか、分からない。

普通に生活をしていて、考えるだろうか。

世界の果てを。


「ユーリ、寝てません?」


拗ねた表情を見せるエステルに、ユーリは笑った。


「寝てないけど、オレはエステルの話が聞きたいな」


そう言えば、ふわりと咲く笑顔。
 
話したかったのだろう。

聞いて欲しかったのだろう。

一歩近づくと、恥ずかしそうに、けれど、嬉しそうに話し始めた。






貴方の隣が、わたしの世界の果て。


始まりも終わりも、いつもここから。


そう言ったら、笑いますか?






キミが見つけた
世界の果て







E N D



2009/05/05
 

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