ギャグ
□迷子の迷子のブレイクさん
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『犬のお巡りさん』パロ?
♪迷子の迷子のブレイクさん貴方のお家はどこですか?
奇妙な歌声が聞こえる方へ、重い足を引きずるように歩きながら、ギルバートは進んだ。
シャロンに笑顔で『お願い』をされたら、断る術を持たないギルバートは頷くしか出来なかった。
どうしても行かなければならないのか……とため息をつきつつ、その場所を目指した。
***
「しくしくしくしく」
わざとらしい泣き真似をしている白銀の髪を持つ男性。
彼の周りで歌いながら踊っているのは、金の髪を持つ少年と黒髪の(食事中の)少女。
きっと、遊んでいるだけだ。
自分にそう言い聞かせ、離れようとしたのだが。
「あ、お巡りさん!」
見つかってしまった。
というか、お巡りさんではない。
「どうした」
「この人迷子なんだ」
「さっきから、ピーピー泣いてうるさい」
「ピーピーじゃなくて、しくしくですヨ?」
どっちでもいい。
仕方ないので、質問する事にした。
「お前の名前は?」
「分かりません」
「お前の家は?」
「分かりません」
「どうしてここに」
「分かりません」
何を聞いても「分からない」としか答えない。
困った。
「……おい、お前たち」
「何?」
「こいつは何者だ」
「さあ?」
「さあって……。お前たちは、さっきよく分からない歌を歌っていただろ!?」
「アリス、そんなの歌ってたっけ?」
「ひはん(知らん)」
アリスと呼ばれた少女は、食事の邪魔をするなと睨みながら答えた。
仕方ないので、もう一度質問してみる事にした。
「名前は?」
「エミリーです」
人形を紹介された。
そんな事は知りたくない。
知りたくないのだが、エミリーの事を(長々と)紹介し始めた。
服の趣味から、休日の過ごし方まで色々と。
無駄にエミリーに詳しくなってしまった。
一方的に話しまくっていたブレイクが、意味ありげに彼を見上げた。
「ところで、ヴィンセント様? ギルバート君の真似は楽しいですカ?」
「バレてたんだ」
「当たり前ですヨ。ヘタレ具合がイマイチでした」
「そっくりだと思ったのにな……。残念」
ギルバートの変装をしていたヴィンセントは、それを脱ぎ、笑顔を見せた。
「……アリス、気づいてた?」
「ととととと当然だろう。私を誰だと思っているんだ!? 『血染めの黒ウサギ』と呼ばれているんだぞ!? そういうオズこそ気づいてたのか!?」
「あああああ当たり前だろ。オレを誰だと思っているんだ? ギルの主人だよ?」
「そこの二人〜? 動揺しすぎですヨ〜?」
「「う……」」
二人そろって、黙ってしまった。
「ところで、ギルバート君はどうしたんですかネェ〜?」
「兄さんなら、エコーと一緒に……」
***
「エコーの勝ちです」
「なぁ」
「何ですか、ギルバート様」
エコーは散らばったトランプを集めながら、顔を向ける。
「二人でババ抜きして楽しいか?」
「ハイ。トッテモ、楽シイデス」
かれこれ、126回ババ抜きをしている。
たった二人で。
楽しい楽しくない以前に、飽きる。
「分かりました。次は、七並べで勝負です!!」
「……」
オズ達が迎えに来るまで、二人きりのトランプ大会は延々と続いた。
E N D
2009/08/01
***
微妙な物を書いてしまった……。
最後の方、話が逸れたし。
ちょっと、楽しかったので、自己満足でヨシとします。
……ごめんなさい。(でも一応謝る)
実は、シャロンメインの話も考えていたり……。