TOG・CP

□わかれみち
1ページ/1ページ

 

※学園パロ。
※高校3年生。






夕陽色に染まる教室。

明かりが消えた教室にアスベルとシェリアはいた。

どんな時でも笑顔でいるシェリアだが、今は暗い表情で唇を噛みしめていた。


「……アスベル」

「ん」

「どうして?」


三つ席を挟んで、顔を合わせている。

二人の間には、重い空気が滞っていた。

それは今まで二人が共有したことのないもの。

だから、居心地が悪い。


「私と一緒じゃ、イヤ?」

「そんなことは……」

「でもっ」


ただ無条件に信じていた。

盲目的に信じていた。

二人は同じ道を歩んでいくのだと。

ずっと一緒にいられるのだと。

それなのに……。

卒業後の進路が違っていたと知ったのは、ついさっき。


「秘密にしていたのは、悪かった。けど、ずっと俺の夢だったんだ」

「……私は、ずっと側にいたのに、知らなかったのね」


すべてを話して欲しいだなんて、思っていなかった。
 
……とは、言えない。

アスベルの全部を知りたかったし、自分の全部を知ってほしかった。

それを押し付けていたのだろうか。

胸が苦しくなったシェリアは、すべての空気を外へ出すように、ゆっくり息を吐いた。


「ごめん」

「アスベルが謝ることないでしょ。私の方が」

「シェリア」


気がつけば、アスベルはシェリアのすぐ前に立っていた。


「ア、アスベル!?」

「別に、永遠の別れってわけじゃないだろ。そんなに泣きそうな顔をするなよ」

「でも……」

「海外に行くわけじゃない。会いたい時に会える」


そう言って、アスベルは携帯を揺らして見せた。

去年の誕生日にシェリアが贈ったストラップが、鳴る。


「そう……よね」

「困ったことがあったら、すぐに連絡しろよ? いつでも駆けつけるからな」

「……あんまり私を甘やかさない方がいいわよ」

「あんまり思い詰めない方がいいぞ?」


強く握りしめていたから、汗ばんだ手。
 
緊張していた、否定されることを。

アスベルならそんな言葉を言うはずがないのに。


「ありがとう。頑張ってね」

「シェリアもな」


それぞれの道を歩んでいく彼らに、祝福を。






わかれみち

サヨナラを上手く言える自信なんてないから、
ただ小さな再会だけを望む。









E N D



2010/03/01



***

体が弱かったシェリアの為に、医者になるのが夢だったアスベル。
みたいな感じかな。
……マシな文章には程遠い出来ですみません。
中編くらいにして、書きたかったかも。




[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ