TOG・CP

□初めて書いたラブレター
1ページ/1ページ

 

「アスベル、手紙の書き方を教えて」


胸に桜色の便箋を抱いたソフィが、書類に目を通していたアスベルに声をかけた。


「手紙?」

「そう、手紙」

「俺に聞くより、シェリアに聞いた方が……」

「シェリアはダメ!!」


もしかして、シェリア宛てに書く手紙だろうか。

それなら、彼女に尋ねながら書くのは難しいだろう。

手紙にする必要がなくなる。


「わかった。俺でよければ、協力するよ」

「ありがとう」


並んで座る。


「書きたいことは、決まっているのか?」

「うん!」

「誰に書くかも決まってるな?」

「うん!」


正式な改まったものでなくていいだろう。

伝えたいことだけを書く簡単なものでも、ソフィが渡す相手はきっと喜ぶだろう。


「相手の名前、伝えたいこと、自分の名前。これで、いいんじゃないか?」

「季節の挨拶とかは?」

「……ソフィ、手紙の書き方、知ってるだろ」

「知らないよ」


平然と言って、手紙を書き始めた。

内容を見る気はないが、隣にいるとソフィが気にするかもしれない。
 
音を立てないように、そっと立ち上がった。

半時間かかるか、かからないかくらいの短時間で書き終わったようだ。

ソフィは丁寧に便箋を折り、封筒に入れた。


「ありがとう、アスベル」

「俺は何もしてないけどな」

「ううん。ありがとう、アスベル」

「どういたしまして」


嬉しそうに笑うソフィを見ていると、手紙は上手く書けたようだった。


「はい。アスベルに」

「俺にも書いてくれたのか?」

「どちらかと言うと、こっちがメイン」

「……」


シェリアに渡すものだと思い込んでいたアスベルは、目をぱちくりさせて、彼女の手紙を受け取った。


「読んでもいいか」

「……うん」


少し恥ずかしそうにソフィは頷いた。

許可をもらったから、本人の目の前で手紙を開く。

桜色の便箋の中央に書かれた文章。

一瞬で頬が熱くなった気がした。


「ソフィ!」

「わたし、みんなに渡してくる!」
 
「……逃げられた」


勢いよく飛び出したため、扉が揺れている。

暫くそれを眺めた後で、ソフィからもらった手紙をもう一度読む。


「……返事、書くか」





『アスベルへ。


いつも、ありがとう。

優しくて、強くて、かっこいいアスベルが、大好き。

初めて書いたラブレターなんだけど、伝わったかな?


ソフィ』






E N D



2010/03/10



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ