ギャグ

□呪いのビデオ
2ページ/3ページ

 

「みんな、今日は集まってくれて、ありがとう!」


ニコニコと嬉しそうに笑うアスベルの前に立つ三人。

ソフィ、ヒューバート、シェリアだ。


「集まりたくなんてなかった……。脅されたから来ただけです」


青白い顔で震えているのは、アスベルの弟・ヒューバート。

一体どんな脅され方をしたのだろう。


「ところで、アスベル。そのコ、誰?」

「ソフィだ。可愛いだろ?」

「まさか……彼女?」

「誤解しないで。ただの同居人よ」


シェリアの視線を受け、ソフィが短く答えた。

答えたのだが。


「一緒に住んでるの!?」

「? そんなに驚く事?」

「詳しく聞かせてくれませんか?」


ヒューバートが尋ねると、アスベルは頬を染めた。

何があったんだとシェリアとヒューバートは彼に詰め寄る。

が、どこの乙女だと突っ込みたくなる仕草(赤い顔を両手で隠す)をして、逃げた。

二人の視線がソフィへと移った。

ソフィは三個目のプリンを無表情で食べている。
 
有名パティシエ作の完全予約制超限定プリン。


「今日は、微妙ね」


四つ目に手を伸ばしながら言う台詞ではない。


「えと……ソフィだったわよね?」

「そうよ。ソフィ・ラント、自称13歳の不思議少女」

「……」


聞き間違えたのかと、シェリアとヒューバートは顔を見合わせる。

確かにソフィはラントを……アスベルのファミリーネームを名乗った。

やはり、そういう関係なのだろうか。


「えと……」

「シェリア」


ストレートに尋ねようかとした彼女をヒューバートは止めた。


「みんな、今日は集まってくれて、ありがとう」



((二回目!?))



少し前に、確かその台詞を聞いた。

あまりにも眩しい笑顔だったので、触れなかったが。


「アスベル、プリンなくなった」

「ソフィはプリン大好きだからな」

「プリン……嫌い」


ソフィの頭を優しく撫でながら、そう言うアスベルにソフィは反抗した。

まるで、兄妹。


「いい加減集めた理由を教えて下さい」
 
「呪いのビデオを手に入れたんだ!!」


自慢げに言ったアスベルに対して、三人は冷めている。

というか、何を嬉しそうに言っているのだろうと思っている。

いや、ソフィは別の事を考えているかもしれないが。


 
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ