ブック14

□初恋
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目を閉じたままでも分かる、
どこまでも広がる青空と、緑の大地で寝転んでいると、優しい香りが鼻をくすぐった。


よく知ってる、あの子の香りだ。



「ルルーシュ?」


さらさらと、彼女の長い髪が頬を掠め、くすぐったい。


「…寝てるのね」


しゅん、とした様な声が聞こえて内心焦った。


「ユ――――」


目を開いて“ユフィ、起きてるよ”と紡ぐはずだった言葉は、
彼女の髪が目の前にあることで喉に止まる。


「…ユ…フィ?」


額に柔らかく、温かい感触。


「えっ、ルルーシュ起きてたの!?」


俺の呼びかけに気付いたユフィは、
顔を上げて、未だに寝そべっている俺を見下ろす。

その顔は真っ赤だった。


「…っルルーシュ、顔真っ赤よ?」

「なっ……ユフィだって!!」

「ルルーシュのほうが赤いわ!」

「ユフィのほうがもっと赤い!」

「…むー………」

「………っぷ、くく…」

「ふふっ…」

「あはは!僕達、なんの言い合いをしてるんだろう!」

「ふふ!本当ね」










どこまでも広がる青空と、大地。

彼女と自分の笑い声が心地よく響いてた。






―愛しき初恋の人。
もう、会えない初めての女の子。


もしまた会えたなら、俺は…俺達はまたあの頃のように笑い合えるのだろうか………。







 

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