ブック13

□忘れたくない恋
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永遠なんてない。
そう思うのは悲しいね。

そう言い、少年は哀しげに微笑んだ。













形あるものはいずれ壊れる。
人間も一つの固体であり、いずれは朽ち果てるだろう。

とある少年が愛した少女もその昔、少年の手からすり抜けて還らぬ人となっていた。






少女を喪った瞬間、少年は愛(こころ)を失ったという。




愛(こころ)は一人では感じることは出来ない。
己と他がいて、愛(こころ)を知れる。

唯一愛(こころ)を感じれた人を喪ってしまった僕は二度と他の誰かに愛(こころ)を許すことはないだろう。


そう言っていた少年は確かに誰にも心を開いてはいなかった。
少年がその心を開いたのは今は亡き少女、たった一人だけだった。




人間は、命には終わりがある。

どれだけ強く想うことがあっても、命が尽きてしまえばそこで終わってしまう。


だから永遠なんて、ない。





(君はどうだい?)



死ねない身体。
ある意味、目に見える“永遠”の人。
彼女は自らを魔女と呼ぶ。


(私は長い長い時を生きてきた。

…これからも永い永い時を生きていくだろう)


魔女は少年に言った。


(お前がいつか死に、お前の想いが終わってしまっても私が覚えていてやる。
そして、私が生きる限り、お前の想いを明日へと運んでやろう)



明日を積み重ねればそれは永遠にいつかなるから。



(…ありがとう、C.C.)



少年は笑っていた。























「おねーちゃん!今日は何のお話をしてくれるの?」

「そうだな…。
ああ、じゃあ、とある騎士の話をしてやろうか」

「騎士ー?」

「そう。

お姫様を死ぬまで愛し続けた男の話だ」
















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