ブック13

□やっぱり仲良し
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ナイトオブラウンズでスリーという称号を与えられているジノ・ヴァインベルグ。
彼は巨大帝国ブリタニアで最高峰に位置する騎士で、もとは貴族の出身だ。


ユーフェミア・リ・ブリタニア。彼女はブリタニア帝国の(すでに皇位継承権を返上しているが、)第3皇女であり、エリア11の副総督をへて『行政特区日本』の発案者である。




生粋のお坊っちゃまとお嬢様を連れて、スザクとアーニャは今日もエリア11を散策していた。





「……暑い」


心底嫌そうにアーニャはポツリと呟いた。
隣を並んで歩いていたユーフェミアが頷く。


「本当に…。こんなに暑いと、気が滅入ってしまいますね」



トウキョウ疎界はここ数日、記録的な猛暑に見舞われていた。
そんな記録的に暑いときになぜ出かけているのかと言うと、話はほんの一時間前に遡る。







「アイスキャンディ?」

「そう!とても美味しいんだ!みんなで食べに行こう!」


頭の上にクエスチョンマークを浮かべて、ユーフェミアはにっこり笑う少年を見る。
すぐそばから「ジノ、ユフィに顔が近い」とスザクの低い声がした。


最近、ジノとアーニャも軍務がないときはスザクと一緒にアッシュフォード学園に通うようになった。
先日、生徒会で“アイスクリームの日”というものが行われたらしく、二人はそこで今まで見たことのないたくさんのアイスクリームに囲まれた。
なかでもジノは手にもってペロペロ食べれるアイスキャンディをとくに気に入ったようで、
同じように「世間知らず」なユーフェミアにも食べてもらいたいと言い出した。


「面倒くさいから」と我関せずを貫いていたアーニャをジノが無理矢理引っ張りだし、四人は今にいたる。




「でも、本当にアイスキャンディは美味しかったです!また食べに行きたいですね、アーニャ?」

「うん」


太陽にも負けないくらいの明るい笑顔で微笑むユーフェミアに、アーニャも仄かに笑う。


彼女たちの後ろでは、本日三本目のアイスキャンディを舐めるジノと、呆れた顔のスザクがいる。


「ジノ。いい加減にしないと、お腹壊すよ」

「へーき、へーき。わたしはスザクと違って頑丈だから」

「なっ!あれは会長が無理矢理…っ!」

「言い訳するなよー、日本男児くん」

「聞け!」


後ろでギャンギャン聞こえるスザクの声に、ユーフェミアは苦笑した。
アーニャはごそごそとスカートのポケットから携帯を取り出して、スザクとジノにレンズを合わせる。




「結局、なんだかんだで仲良しね」

「ふふ、本当に」






―パシャッ




その日のアーニャのブログには、スザクとジノが楽しそうに言い合いをする写真が載っていた。

タイトルは【やっぱり仲良し】。











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