ブック13

□惚れた弱み
2ページ/2ページ




もやもやが、爆発する。


「私だって楽しみにしてたのよ!なのに貴方は私にも気付かないで、女の子達と楽しそうにお喋りして!」


何が、楽しみにしてた、なのだろう。自分がいなくたって、十分楽しみにしてたくせに。
ああ、もう、なんか嫌!



じんわり目頭が熱くなり、視界がボヤけそうになる。
ジノの蒼い瞳に見られたくなくて、ユーフェミアは顔を反らす。


「…デートが楽しみだったなら、あの子達としてきて下さいっ」


ユーフェミアは顔を覆った。
我慢仕切れなかった涙が地面に落ちる。


もやもやが消えてく代わりに、虚しさが心を占めていく。


彼女達に嫉妬して、ジノに怒って、そんな自分がひどく情けなく思えてきた。

こんな情けない姿を、ジノに見られたくない。
大好きな人にこんな姿を知ってほしくない。




  ちゅっ


「っ!?」


頬に温かく柔らかなものが触れた。

思わず顔を上げると、困ったような顔でジノがユーフェミアを見ている。


「そんなこと言うなよな。」


あー困った、困るよなあ。
そう言いながらジノはその場で胡座をかいた。

視界からジノの姿が消えて、ユーフェミアは起き上がる。
振り替えると、ジノはやはり困った顔で頭をわしゃわしゃ掻いている。


「私がデートしたいのはユーフェミアだけなのになあ」

「!」

「てか別にデートじゃなくて、ユーフェミアに会うのが楽しみだったんだよ」

「!!」
 



「ユーフェミアに、ずっと逢いたかった」


目を大きく見開いたユーフェミアが、その青紫色の瞳にジノを映す。
潤んだ彼女の瞳に映る自分を認め、ジノは微笑んだ。


「ユーフェミアは私に会いたくなかった?」


途端にユーフェミアの顔が赤く染まる。


「…言いたくありませんっ」

「でもそのワンピース、私のために新しく買ったんだろう?」

「!!」

「とても似合ってる!やっぱりユーフェミアは白がよく合うなあ」


悔しい。悔しい、悔しい。
どうしてか、ジノのペースに呑まれてしまっている。

ユーフェミアは最大の嫌味を込めて、ポツリと言葉を呟いた。


「…女好き」


「好きなのはユーフェミアだけだよ」



満面の笑顔でさらっと気障な台詞を言いのけてしまうジノは、ユーフェミアに顔を近付けていく。


(誤魔化されないって思ってるのに)


ユーフェミアはゆっくりと目を瞑る。






ああ、所詮、彼に恋をしてしまってるから。




どんなに嫉妬して怒って情けなくて悔しくても、
キス一つで幸せになってしまう。




「私も逢いたかった…」












end.
戻る
ユフィ主観なジノユフィでしたー。
これを書いてて、相手がルルーシュだったら大喧嘩になってただろうなぁ、と思ったり。

前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ