ブック13

□星空散歩
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「あ」



薄い紫に青が混じったような、不思議な、でも綺麗だと思えるユフィの瞳が真ん丸に見開いた。
そして、白く細い指が空の一点を指す。


「スザク、見て。きれいな星」


言われて、彼女の指の先を辿れば確かに星がひとつ、きら、と輝いているのが見えた。
でも、それは目をよく凝らさなければ見えないくらいの小さくて弱々しい光で。

僕は少し笑った。


「あんな小さな星、よく気付けたね」

「そうかしら?
小さくても、あんなにキラキラ輝いてるでしょう。そういうの、わたしはとても好き」


僕に無邪気に微笑んでから、空に目を戻す。
僕はしばらく彼女の顔を横目で見つめてから空を仰いだ。


真っ暗な暗闇にぽつんと光るたった一つの星。
真夜中ということもあり、辺りには時折吹く風の音だけが僕たちを包む。



(なんか、まるで)


「世界に二人しかいないみたい…」

「えっ」


頭に浮かんだ文字が、音になってしまった。

ユフィは驚いた顔で僕を見つめ、みるみる顔を赤く染めていく。
釣られるように、照れや恥ずかしさで僕の顔に熱が集まっていくのが分かった。


 
それでも僕は繋いでいたユフィの手に指を絡めて強く握った。





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