ブック13

□いまでもあなたが好きです
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例えたら春。
春の木漏れ日のような温かな笑顔と、桜のように優しい色した髪の毛。


そんなことを言ったら彼女は嬉しそうに笑った。



(では、春になったらわたしにサクラを見せてください!約束ですよ!)

(うん、約束する)






春になったら、誰にも内緒で手を繋いで、見に行こうね。









そう言って笑い合ったのは、遠い遠い昔。
笑った彼女の色さえ褪せてしまった過去。


彼女の妹が彼女とその兄に、と植えさせた桜の木がようやく花を咲かせた。








青い空に映える薄紅色の花びらを見ながら、名もない男は一人微笑む。





―ユフィ、約束をしたね。









(見せてあげたかった、本当に一緒に見たかった、いまでも)








いまでも。






 
 









いまでもあなたがきです




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