□七色の華色―第壱章 紅―
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「旦那様!華色お嬢様!」
「五月蝿い!我は今食事中だ!邪魔をするな!」
「は!すいません...。ですが...。」
「我の言ってる事が理解できぬと?」
「は!すいません...。」
「まぁ華色落ち着きなさい。爺の言ってる事も聞かねば。」
「ですが父上、今は食事中です。」
「まぁまぁいいじゃないか。でなんじゃ?」
「は!実は取引の事で―...」
紅無 華色(あかなし はないろ) それは彼女の名前。財閥紅無の会長の孫娘であり、社長の娘でもある。英才教育のせいか頭脳明晰、運動抜群という恵まれた才能の持ち主である。だかその分自信過剰の部分がある。
「ほう。なら蒼葉を潰せ。邪魔だ!」
「はい。もう取り掛かっております。蒼葉が潰れるのは時間の問題かと。」
「なら待て!」
「は!それでは失礼します。」
「爺。華色に用事があったんではないか?」
「そうでした...。お嬢様頼まれた事についてですが...。」
「!もう出来たのか?」
「はい...。食事の後お時間よろしいでしょうか?」
「うむ。我の部屋で待っておれ。」
「はい。それでは失礼します。」
バタン...。襖を閉める音が響いた。
「華色。頼まれた事とは?」
「失礼しました。父上の耳に挟むようなことではありません。それではご馳走様でした。」
華色は上品にナフキンで口を拭き、部屋から出て行った。廊下に着物の裾があたる。
「もう出来たとは...。さすが紅無財閥の情報処理部。鼻が高い...。」
などと独り言を言ってると和式の通常より広い部屋に着いた。
「爺!!どんな風になった!」
大声をあげ、勢いよく襖をあけた。爺はパソコンを開いてかしこまった様に立っていた。
「このような結果になりました。」
爺は華色にパソコンを向ける。
「うむ。これか...。」
華色はマウスを持ち操作する。
「これが我と同じ『華色』を持つものか...。」

紅無 華色
蒼葉 華色
翠河 華色
黄木 華色
黒居 華色
白岩 華色
紫  華色

「七色...。」
「はい...。これが探した結果七人です。」
「フッ。面白い。この我の名前を持つものが七人居るとは面白い。」
華色は口元で笑い、羽織を着て
「行くぞ。支度は出来たか?」
「はい。すでに出来ております。」
「そうか。なら行くぞ。父上にはしばらく遠出すると言っておけ!」
「は!」
「なら行くぞ。六人の『華色』に会いに...。」
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