近き夢想空間への鍵
□大切な…
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「俺がいる…。だから大丈夫だよ。」
そういってオリオンはエレフの背中をそっとさすり続けた。
しばらくして、
「い…もう……と…。」
とエレフが呟いた。
「妹?エレフ妹がいるのか?」
オリオンは尋ねた。
するとポソポソとエレフが話し出した。
「うん…。双子…でミーシャって…いって…。家に変な人たちが…来て…父さんが、母さんに俺とミーシャを連れて逃げろって…。
でも…そのあと母さんともはぐれて、俺とミーシャは変な人たちに…さらわれて、馬車に乗せられて…ミーシャは別のやつに連れて行かれてどこにいるかわからなくて…。」
エレフがオリオンの服をつかんでいる手がぎゅっと強くなった。
「そうか…。その夢を見ていたのか?」
「うん…。」
か細い声で話すエレフから微かに嗚咽のようなものが聞こえた。
「つらかったな。でもきっとミーシャも大丈夫だよ。きっとここから抜けてミーシャを探しに行こう!
きっと見つかるさ!なんてったってこのオリオン様がいるんだからなw」
オリオンは、勇気付けるように言いエレフを抱きしめている腕の力をを強くした。
「ごめんな、ホントなら声を出したいだけ出して泣いていいって言ってやりたいけど、ソレをすれば気付かれるから…。
ここで泣いていいから。気が済むまで俺が傍にいてやるから…。」
「オ…リ…オン…。……―――――――っ!」
そのあと少しの間エレフはオリオンにしがみ付いて泣き続けた。その間オリオンはただ背を擦ってやっていた。
「もう大丈夫か?エレフ。」
小さな泣き声が止んだ頃そっとオリオンは聞いた。
「うん……。」
「じゃあ、そろそろ戻らないと見つかるとまたあの神官がうるさいし…。いけるか?」
「あぁ…。」
「今度は俺と一緒に寝よ。そしたらもし悪夢を見ても俺が一番に助けてやれるから。」
そうして、2人は他の奴隷たちがいる所へ戻っていった。
「ついたー!じゃあ寝るか!!」
オリオンは自分の荷物をエレフの荷物の隣に置いた。
「…っあ…オリ…オン……!」
「ん?どした?」
「その…ありがと////。」
そういってエレフはオリオンの頬に軽く、キスをした。
「…!!!」
オリオンが突然のことに驚いて固まってるうちに、エレフは毛布に包まり寝息をたてていた。手はオリオンの手につながれて…。
「/////やべぇ…嬉しい…。」
オリオンはにやけながらも毛布に包まり、
『寝れねぇ…。』と考えていた。
もちろん、2人の手はずっとつながれたまま…。
次の日の朝になると、エレフが元の元気な少年に戻っていたのはまた別のお話…。