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□飛んでった
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―なあゆーし。ゆーしは将来何になりたい?
ん?俺は…俺はウチの病院継がなあかんねん。医者なんやろなぁ。
…がっくんは?
―オレは…鳥になりたい!背中にでっかい羽根広げて、バサッてさ!
あはは、がっくん、自分は人間やろ?鳥になんてなれへんて。
―あー!ゆーしお前バカにしてるだろー!見てろよ!絶ッ対誰よりも高く飛んでやるんだかんな!
そん時はゆーしにこう言ってやる!
「『飛んでみそ』」
その言葉、がっくんの口癖やったな。
がっくん、あん時は茶化してもうてすまんな。
人はほんまに空飛べるもんやって気付いたの遅すぎたわ。
せやかてがっくん、自分飛んでくの早すぎやて。
どんな頑張っても追いつけん、届かんのや。
もうちとだけ、待っててくれてもよかったんとちゃうん?
俺、やっと研修医卒業したばっかりやねん。
俺ががっくんの病気の治療法探したるから、一緒に頑張ろうなって約束したやん。
治ったらまたテニスしようなって言うたやん。
いつもそうや。がっくんは俺のいつも前を駆け抜けてく。
ずっと見とらんとどこかに行ってまいそうやったから、俺はずっと見逃さんように追いかけてた。
今回ばかりなんで見失ってしもたんや、俺。
せやから先行ってしもたんやな。ごめんな。
でも今度はずっとまっててくれや。
俺が死ぬのをまっててくれや。
今回はいつか必ず追いつくはずやから。
がっくん、俺、医者になれたんやで。
がっくんは?鳥になって、どこの空飛んでるん?
end
→反省