□FA
□Please don't hardly treated.
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「た〜いさぁ〜、どこ行ったんスか〜。ったっく・・・。」
タバコを咥え、頭を掻き毟りながら仕事をさぼっている上司を見つけるハボック。
執務室にも、仮眠室にも、蔵所にも何処にもいない。
一応、木の上やら見てみたけど居なかった。
一体何処に行ってしまったのだろうか?
「中尉に怒られますよ〜。」
ハボックは、ため息をつきながら屋上に向かった。
高いところから見れば見つかるだろう。
カンカンと階段を上がる。
ガチャリとドアをあけた。
「居た。」
「please don't hardly treated.」
そこには、一人寝転がって空を見ている大佐が居た。
空よりも濃い軍服が風に揺れている。
「中尉に叱られますよ。」
上司の顔を覗き込むようにして上から言った。
大佐は少し驚いたみたいだったけど、すぐに俺をスルーした。
「なんだ、ハボックか・・・。」
「なんだは酷いッスよ。めちゃめちゃ探しまわりましたよ。」
「・・・・そうか。」
「・・・・よいっしょっと。」
あまりにも自分に興味を示さないロイが何をそんなに見ているのか知りたくなって、ハボックはロイのとなりに寝転がってみた。
「何見てたんスか?」
「別に何も、ただボーっとしてただけだ。」
「へぇ、大佐でもボーっとする事なんてあるんスね。」
「私がボーっとしてたらおかしいか?」
「大佐は完璧人間なイメージがあったんで。サボりを抜いて。」
「ハハッ。手厳しいな。完璧人間か。そんな人間、ほんとに居るんだろうか?」
「どうなんでしょうね?大佐はボーッとしてるとき何を考えてるんですか?」
「そんな事を聞いてどうする。」
「聞いちゃいけないことでしたか?」
「・・・・・、色々考えるな。この国の未来の事、大総統になること、そのために何をするべきか?人造人間(ホムンクルス)のこと、イシュバールのこと・・・・・。」
「・・・・やっぱ、聞かない方が良かったですか?」
「いや、そんなことないさ。昔、ヒューズが言っていた。私は、一人で何でも背負い込んでしまう性格なんだそうだ。だから、たまには自分の思っている事を他人に話すべきなんだ。と。」
そう言ってロイはハボックの方を向いた。そして、ニコット笑ってみせた。
でも、その笑顔は今にも泣きそうな笑顔だった。
ハボックは、ロイの顔を見て何故だか薄っすら涙が出そうになった。
「そうっすね、ヒューズ准将の言う通りっすね。」
「そうか?アイツが居なくなるまでそんな事忘れていたが・・」
「もういいです!!!」
ハボックはロイの心と反比例するロイの顔を見て、涙が出てきた。
ロイの辛そうな心の声が聞こえて来そうで耐えられなくなった。
「もぅ・・・いいんです・・・それ以上、話さないで下さい。」
「ハボック・・・?」
「なんで・・・なんでっ、そんなに強がるんスか?心は泣いてるはずなのに、何で笑ってるんスか?何で、そんな泣きそうな顔して・・・・笑うんスか?俺・・・・オレ・・・・。」
ハボックは自分でも分からないくらいに大号泣していた。
そんな俺を見て大佐は、また泣きそうな顔をした。
ロイは、自分の心の中のように泣きじゃくるハボックを見て、ハボックと自分を重ねていた。
「なぜ、お前がそんなに泣く必要がある。私は・・・。」
「わっ・・・わかんないッすよぉ・・・ズビッ・・・・多分・・・大佐の変わに・・・ズズッ・・・泣いてるんス・・・。」
「ハボック・・・・、お前・・・ズッ・・・馬鹿な奴だなぁ・・・・・・。」
ロイは少し涙ぐみながらも、ハボックの頭を撫でた。
子供をあやすような手つきだった。
「大佐、俺。一生アンタについていきます。そんでもって、アンタのちゃんとした笑顔を見ます。」
「そうか・・・ハボック!。」
「何ですか?」
「私のために、泣いてくれて・・・・
ありがとう・・・・・・・。」
※Please don't hardly treated.
(辛い思いを、しないで下さい。)
→あとがき