オリジナル短編集

□喫茶昼行灯 No.03
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 カランコロン
 ドアベルが鳴り、喫茶[昼行灯]に来客を知らせる。
 来店者の名前は高津大輔。そして、大輔が喫茶[昼行灯]の敷居を跨ぐと同時にその姿を現す幽霊の少女が想である。

「こんにちは〜。……………って空藍さん!? 居ないんですか」

 大輔が声をかけるが一切の反応が返ってくる様子がない。
 この店は居住スペースを含め、そこまで大きいわけではない。むしろ少々小さいかなと思わせる程度の規模である。その為、来客があれば敷地内であれはドコにいようが分かるのである。
 故に空藍から反応が無いという事は空藍がいないといわけである。

“ダイスケ〜。コーヒー淹れて〜”

 大輔が空藍の居ない事に困っていると、カウンターの丸イスでくるくる回っている想からコーヒーの注文が入った。
 何故か彼女は、この喫茶[昼行灯]に来ると実体を持ち、普段触れない物に触れてしまうのである。

「ダメ、てかなんで僕が淹れなきゃいけないんだよ」

“なんでって、そりゃぁ、店の人居ない、ダイスケがやるしかない。簡単な事じゃん。というかダイスケが淹れないなら誰が淹れるって話だよね”

「店の人だよ!? この店の人しかこの店のコーヒー淹れちゃダメだよ、普通!?」
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