王道はドコ行った?

□嵐の前の騒がしさ(前)
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SIDE:柾鐘 崇因《理事長》




「それじゃあ明日。楽しみに待っているよ・・・。」


 携帯の通話を切り、私はお気に入りの椅子に深く腰掛けた。

 うまくいった。きっと彼は私に良い印象を持ってくれたハズだ。


 崇因はデスクに広げてあった彼の資料に、もう一度目をやった。


内藤 弘夢(ナイトウヒロム)
成績、普通。
運動神経、上の中。
際立った特技や才能、特に無し。


 はっきり言ってしまえば、うちの学園に転入出来るような子じゃない。

 柾鐘と縁ができて、家柄や財力面は軽くボーダーラインを越えたけど、学力や一芸面から見れば転入試験に受かる確率は限りなくゼロだ。


(まあ、彼も鳴鐘学園に転入なんて、今日まで一度も考えた事無かっただろうけどね。)


 彼の母親に転入を提案したのは他でもない、崇因だ。

 結婚を前提に付き合ってると紹介された、あのパーティーから崇因の計画は始まった。


「弘夢君も鳴鐘学園に転入したらどうですか?いずれ親戚になる訳ですし。」

「まあ!それじゃあハネムーンの時にお願いします♪」

 ・・・30秒とかからず母親から了解がとれた事は、流石に予想外だったけど。
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