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□第七幕
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二時間目放課。

露乃は騒がしい教室に若干眉を顰めながら、教卓の前のパイプ椅子に座る女性を見ていた。

背は高くも低くも無く、スタイルも悪くないのだが、その顔は如何な肝を持つ者でも悲鳴をあげたくなるような強面だった。

強面。先の男子を思い出すが、ここまで恐ろしい顔はしていなかった。

顔のつくりも悪くなく、その唇も女らしくふっくらとしていて同性でも惹かれるものがあるが…問題は眼だった。

きついつり眼は細く俯いていて更につりあがっているようにも見え、獣のように小さい瞳孔は人間のものとは思えない。

髪型もオールバックのポニーテールにし、更に強面を強調しているようで、彼女は気にしないのだろうか、と気になった。

早めにこの教室に来て、まだ騒がしい生徒達をぎょろぎょろとその小さい瞳で追っている。

彼女は三時間目歴史の教師、そして露乃のクラスの担任であった。

入学当時はこの女性が担任だと知り、失礼な話だが露乃は結構なショックを受けていた。

見た目では中身が解らないとは言うが、この女性の場合は違うような気がする。

見た目とは外見であり、中身とは性格…しかしこの女性の場合はその中間に人格や人柄といった、外向きの性格が見える。

だが外向きと入っても性格は性格なので、あながち取り繕った様ではないの、だが。

露乃はこの教師が徐々に好きだと感じていたので、長所を述べる前に短所も述べたくなるようなもどかしさを感じていた。

見た目どおり、恐い性格をしているし、がさつな態度で大雑把な口調で、この女性に怯える生徒は少なくない。

だがその中に諸里が何度か諭してくれたような正当性も感じられて、尊敬が出来た。






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