愛シリーズ〜筧編
この気持ちが恋と気付いたのは最近だ。
前から温かく感じていたそれにどっぷりと浸かったのは、笑顔で俺の名を呼んだ君を真っ直ぐ見た時だった。
それから俺はずっと彼女を見つめ続けている。
そうして彼女の柔らかい笑顔を見て、また落ちる。
そんな日を繰り返して、最近自分が嫉妬深いのだと知った。
例えば2日に一回やって来る渋谷と仲良く話してる時とか、
水町に捕まって振り回されて、結局許してしまう時の苦笑いだとか、
小判鮫先輩と部活のメニューについて話し合ってる時の真面目な顔、
俺が見ることのないくるくる変わる表情を見るあいつらが羨ましくて(妬ましくすら思う)
彼女はあまり俺を見ない。
目があったとしても直ぐに逸らして別の誰かに笑かける。
だからあの時の笑顔はとても貴重なんだ。
他の奴らには笑いかけるのに…どうして俺だけ?
今日も部室でみんなに笑いかける彼女を見たら我慢できなくなって無理やり腕を掴んでこっちを向かせる。
「好きだ。」
思わず溢れた言葉にハッとしたが取り返しは聞かない。
「いや、そのっ今のは…!」
焦って言葉らしい物が出て来ない…
彼女も驚いたという顔をして固まっている。
「(…やっぱり俺、嫌われてるのか)」
落胆から小さなため息をつきそうになったとき、彼女の目から涙が零れた。
「なっ!泣くほど嫌か!?」
小さく首を振る彼女。
じゃあどうして…?
顔を上げた彼女に涙はもう無かったけど、変わりに有ったのは俺が望んでいた笑顔。
見惚れていると抱き付かれて小さく囁かれた
「私も、だいすき」
頬を染めた彼女が余りに愛しくてしっかりと抱きしめ返した。
愛してるということ
(どうか知っていてほしい)
ここが部室だとすっかり忘れていた俺達。
勿論水町によってここに居なかった連中にもしっかり今の告白騒動は広まってしまった…。
ミスって一回消してしまったのでおかしい所があるかも…ι
宜しければ感想頂けると嬉しいです^^