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□独り占め
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今日は久しぶりに親父が休みだ。
カカロットも地球に送られたし、二人っきりの休日だ!理不尽な言い方してごめんな!

久しぶりに一緒だもんなあ、何しようかなあ。

独り占め



何をしようか、どこに出掛けようか、そんなことを聞いても素っ気なく返されてしまう。実の父、そして恋人。
なんとも滑稽だが、ラディッツはそれで良いのだ。誰に何と言われようと、恋人は恋人。父親は父親。
笑われたって「恋人なのに血が繋がってるなんて、羨ましいだろ?」と、得意気に返すのだ。


「なあ、親父 。」
うきうきと口を開くと どうした、と軽く返される。
「今日どっかでかけねーの?デート!デート!」
と目を輝かせながら続けて話すラディッツ。

「外ねぇ…。」
と一言放ち、煙草を蒸かす。何か言いたげだ。
一呼吸置き、
「今日は出掛けねえ。」
と固く言い放った。それはラディッツに直撃した。

「なっ、なんで!折角の休みなのに!」
眉間に皺を寄せながらラディッツに目をやると、涙なのか薄ら目が潤んでいた。不謹慎ながらにバーダックはそれを 綺麗だな、と思っていた。

ぼそりと 変だから?と先に口を開いたのはラディッツ。変とは何だ?とバーダックは頭に疑問符を浮かべた。
「何がだよ。」疑問符は言葉になった。

「親子なのに恋人なんておかしいだろ。みんな笑ってるよ。」
心なしかラディッツの声は震えていた。

バーダックは頭をくしゃくしゃと荒く掻き、ラディッツの腕を強く引き寄せた。
「!?」
「そんなんじゃねえ。」
と、言うと間髪入れず力強いキスをした。

「こんな可愛い恋人、他のやつらに見せたくねーだろ。」唇を離し、ラディッツの耳元でぶっきらぼうに言う。すると、ラディッツの耳がたちまち赤くなっていくのが分かる。
その様を見て笑ってやろうと思っても生憎、負けず劣らずバーダックの顔も赤いのだ。血は争えない。

「なーんだ…。じゃあ俺も出掛けなくていいや!親父と1日こうやってくっついてよー。へへ、皆羨ましいだろうなー。」恥ずかしさを紛らわす為か、笑いながらバーダックに強くしがみつく。顔は見えまい。

「そうだな。」
と呟いたあと、バーダックも小さく笑う。


恋人を独り占めする休日、悪くない。



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