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□視線
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悟天がたまには街に出たいって言うから。一緒に出掛けたらこの様かよ!他の女ばっかり見てたり、まるで俺に興味が無いみたい。そりゃあ、俺には胸が無ければ、あんなスラッとした身体でもない。

一緒にいる意味あるのかな…。


視線



街に出たいと切り出したのは悟天。
何故かとトランクスが問うと、なんとなく、と曖昧な返事を返した。その時は何の気にも止めなかった。
街に出ると悟天は一変。本人はそんな素振りをしていない様でも、トランクスには分かってしまうのだ。幼少期から一緒にいるのだ。当たり前のことである。

いつもよりキョロキョロと周りを見回したり、女のシルエットを追いかけたり、いつもの悟天とは様子が違う。

まあいい、少し様子を見よう。と思い、トランクスは悟天に「休憩しないか?」と提案した。
心ここにあらず、と言ったら良いか、悟天は空返事をした。

カフェの硝子張りになったカウンターの椅子に腰を掛ける。
各々頼んだ飲み物が届くと間を埋めるように、二人はストローに口をつける。

少しの間が走り、先に口を開いたのはトランクスだった。
「なあ、今日の悟天変じゃないか?」
あまりにも直球すぎた。 あのべジータの息子だ。不器用なのが遺伝してしまったのだろう。
直球を投げられた悟天は「えっ」と我に返ったかのような反応を見せた。

「あ、ああごめん。少し考え事してて。」
へへ、と少し臭そうな顔で笑った。
それに対抗してトランクスはムッとした顔で「それって何?」と素早く返した。

「え、えええと、」
言葉に詰まる悟天。
「言えない様なことなのか?」
「い、いや…」
悟天は言葉を濁すばかりで一向に答えを言おうとしない。



「…俺が女じゃないから?」

「!?」
トランクスの俯いた顔を凝視した。
悟天は心のなかで「まずい!」と叫んだ。

「違うよ!」
「じゃあなんで、他の女ばっかり目で追っかけるんだよ。」
「違うんだ!落ち着いて聞いてくれよ!」
悟天はトランクスを宥める。

ムッとした顔で 仕方ない、と言わんばかりにトランクスは悟天の話を聞く体制に入る。
それでも悟天はまごついている。何を勿体ぶっているのか。

「も、もうすぐ、君の誕生日でしょ?」
「あ…。」
日々の忙しさでトランクスは自分の誕生日なぞ忘れていたのだ。

「それで、君が喜びそうなもの、探してたんだ。でも、やっぱり街って女の人もいっぱいいるし、目線の先にどうしても入っちゃうんだよね。でも、決して女の人を見てたわけじゃないんだよ!」

ああ、そうなのか。と胸を撫で下ろすと共に、嫉妬を全面に晒け出していた自分が恥ずかしくなり一気に顔が火照る。
真っ赤になっていく顔を両手で隠す。

すると悟天はフフッと揺れるように笑った。
「正面見て、硝子に映ってるよ。」

ああ、隠しきれない。と思ったトランクスは悟天の方を向く。
「かわいーい。そんなに嫉妬してたんだね。少し嬉しいな。」
と悪戯に悟天は笑う。

「責任とれよ。」
「勿論。」







視線の先にはいつも君が映っていて、とても眩しい。





年下なのに余裕の悟天さん!ヒューヒュー!

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