短編

□オレの誕生日
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オレは誕生日というものがあまり好きではなかった

むしろ嫌いだった

祖国での12月のビッグイベントといえば、クリスマスなどではなくて王子であるオレの聖誕祭だった


国民たちはそれにあやかって各々の家庭でパーティーをしていて、城でもそれは例外ではなかった

それはもう豪華な食事やら贈り物やらが並んだ


じゃあ何故そんな贅沢な誕生日が嫌いだったのか

丸一日、行動が制限されたから?

王と妃である両親と対面する数少ない機会だったから?

それに伴い、自らが主役の催事だからこそ、より一層厳しくマナーが求められたから?


オレがオレの誕生日が嫌いだった理由

それは、オレの誕生日ではなく「オレたちの」誕生日だったから


たまたま自分より早く産声をあげ、ほんの少しだけ自分より頭脳も運動能力も優れていた目の上のたんこぶが嫌いで嫌いで仕方なかった

両親も使用人たちも表面上は双子の王子を祝っていたけど、所詮オレは出来損ないのレッテルを貼られた弟で、期待の王子の身代わりに過ぎなかった

そんな空気の中で行われた家族団らんと称したパーティーは心底息苦しかった


オレだって正統王子だし、勉強も運動もその年齢にしてはかなり高水準でこなせていた(はず)

けど、近くに瓜二つの比較対象がいたことによって、オレへの評価は相対的に下がっていた


気に食わなかった

何もかもが

兄という存在と比較され、周りからも兄からも見下されるのがとにかく気に食わなかった

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