銀神3Zde小説

□パパパンツ
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先に好きになったのは神楽だった。
いつもやる気のない姿に何故だか惹かれてしまったのだ。
「ホームルームはじめるぞ〜」
学級崩壊しかかっている3年Z組担任、国語担当の教師、坂田銀八。
神楽はZ組にやってきた留学生である。


眼鏡の下から銀八を見つめる。
(はぁ……なんで私、生徒アルか)
肘をついてため息をついてしまった。
しかし、小さくついたつもりだったのに銀八に気付かれる。
「なんだ神楽、悩みごとか?」
「な、なんでもないです!!」
ホームルームを終えた銀八が話しかけてきたのでびっくりした。


「違うの?だってため息ついてたろ。あれか、またキャサリンにウインナー食われたとか?」
「ウインナー言うなヨ!!タコさまウインナーとお呼び!!」
神楽はそう言って駆け足で逃げた。


あんな間近に銀八を感じたのは初めてだった。
神楽は留学生であるため、学校の側近の寮にすんでいる。
パタパタと自分の部屋へ飛び込み、冷蔵庫を開ける。
牛乳を一口飲んで、ふぅ、と息をついた。


翌日、いつも通り学校にきた。
神楽は学校が好きだ。
特にZ組の仲間とは喧嘩をしながらも仲が良い。


教室をあけると、まだ誰もいない。
「まだ七時半アルか……」
ついつい早く来てしまって、神楽は席につく。
そう、留学生な故に、帰国が迫っているのだ。
「帰りたくないアル…」
「どこに?」


ハッとして振り返ると、銀八がいた。
「どわっ………びっくりしたぁ……」
「自分の受持つクラスに来て何が悪いよ。てか神楽にいいお知らせ」
「なにアルか?」
そう見た銀八の手には便箋。



「俺にも届いてた。親父さんからだぜ、エアメール。」
「パピー?」
「内容も俺と同じだと思うぞ、読んでみ?」
首を傾げながら神楽は封を切った。





神楽へ
 
拝啓、元気にやっていますか?
俺は元気が有り余るほど元気です。
彼氏とかできちゃったりしたのか?まぁお父さん認めないけどな。
 
この手紙を書いたのは理由があってな
実はお父さん、仕事が落ち着いてきたから国にしばらく帰れることになったんだ。
神楽ももうすぐ卒業だし、日本に残りたければなんとでもしてやるが、一緒に暮らさないか?
と言うことで卒業式は見に行くからな!!
それまでに決めておいてくれ。
 
星海坊主






「………」
「親父さんが言うには海外出張がしばらくないから国に帰らないかってことらしいぜ、あと5ヶ月あるんだからゆっくり考えろな。」
銀八は神楽の頭をポンポンと叩いて、教室を去っていった。
「嫌ヨそんなの……」
神楽は数分の間、少し泣いた。

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