〜宙〜
さよなら、そして…… 〜マルセル〜
君と夕方まで他愛ない話をして笑って、それって当たり前の事だったのに……。
「マルセル様。私、女王になります。新宇宙の、女王に」
君が突然言ったその言葉で、僕は、当たり前な事がとても大切な事だったんだと気付かされた。
「……決まったの」
小さく笑って、君は首をふった。
「決まったんじゃなくて、決めたんです。私が、あの生まれたての宇宙を守っていく……そう、決めたんです」
「……そっか、おめでとう」
うまく、笑えたかな?
うまく、言えたかな?
「明日、レイチェルと新宇宙に行きます」
そう言った君の瞳は、眩しいぐらい輝いていた。
そして、なんて綺麗な笑顔なんだろう。
今まで見た中で、最高の笑顔だったんだ。
目に焼き付けたくて、僕は真っ直ぐ君を見た。
胸につっかえていたものが、ふわりと消える。
「いってらっしゃい!」
「行ってきます! マルセル様」
いってらっしゃい、僕の好きな人。
君と、そして新宇宙に心からの祝福を願うよ。
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