小説天狼星
□〜Happy Birthday〜
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ハリーは笑って、声の方へと駆け出した。
「父さん!!」
抱きついた父は、すでに礼服姿だった。
「本当に魔法省で、着替えて来るとは思わなかったわ」
微笑うリリーに、ジェームズは重ねた。
「君も着替えておいで。――当主が代わってから、ブラック家のシャドウ・ワイバーンは、せっかちになった」
しがみついたまま、「シリウスの悪口を言わないで!」
と言うハリーに、夫妻は微笑した。
愛しくてたまらない、と。顔に書いてあった。
「……じゃあアナタ、ハリーをよろしくね?」
そう言付けして、リリーは別室へと消える。
「…………ドキドキしてるかい?ハリー」
ジェームズの悪戯な問いに、ハリーは震えで答えた。
強ばった表情がなによりの証拠だ。
――ドキドキし過ぎて、怖いんだけど、こういうのって、ありなの!?
ねぇ、父さん!!
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