小説天狼星

□Over the ”Night rainbow”
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「シリウス!!」

 相変わらず格好良く微笑っていて。

「黒揚羽は気に入らなかったかな?」
 と、笑顔で尋ねられた瞬間、胸が大きく鳴った。
「気に入らない訳がないよ!!――シリウスが入れてくれたんだもん!!」

 グラスを引き寄せて中身を啜ると、シリウスは小さく肩をすくめた。
「気に入らないなら、そう言って良いんだよ?」
 訳が分からなかった。
「僕がシリウスを嫌う訳ないじゃない!!」
 シリウスは小さく苦笑いした。
「そういう意味じゃなくて……」
 と、そこでシリウスが言葉を止めたのは、母親がこちらを睨んでいたからだろう。

 結局、シリウスはそれ以上話し掛けてくれなくて、部屋の割り振りになってしまった。

 父さんたちはローマに行くって言っていたし、ドラコは一日で帰るのだ。
 …………わざわざ割り振る事なんてないと思うけど、シリウスは、これが楽しいのだと言っていた。
 誰も思いつかない様な(かと言ってそれ程奇抜でない)内装を考えて、ハリーの父母を迎えるのが、何より楽しみなのだという。

 皿を片付け終えたシリウスが、ハリーの側で囁いてくれた。

「…………ハリーの部屋は、一番眺めがいいんだよ?……二階の左端の部屋だ。――皆と行っておいで……」

 その、自分を遠ざける様な言葉に、ハリーは悲しくなった。
(迷惑なんだろうか………)
 二階に向かいながら、ハリーは思う。
(シリウスにとって"約束"は、迷惑なんだろうか……)

 振り返ると、シリウスは華やかに微笑み返してくれた。

 …………それは、「安心しろ」という意味なのか。「早く行け」という意味なのか………。



 シリウスの割り振ってくれた部屋で考え込んでいたら、訪ねてきたシルヴィアに言われてしまった。




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